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その日から、菅生君はよく私に話しかけて来るようになった。
朝は私の方が早く来るので、彼が席に着く時に私に「おはよう」と声を掛けられる。
帰りは彼が部活があるので、「また明日な」と鞄を背負いながら言われる。
まぁ、無視されるよりは話しかけてくれる方が嬉しいので私も挨拶を返す。
すると、彼は嬉しそうに笑うのだ。
いやはや、王子フェイスで嬉しそうに、ふにゃりと笑う顔は反則だ。
彼は無自覚に人を萌え殺してると思う。
そう思いながら、私も荷物を纏める。
今日は快晴。
真夏の快晴は酷く暑いが、まだ蒸し暑さは無い。
その分、カラッとしていて気持ちがいい。
家に帰ったら、ギターを持って公園にでも行こう。
別に家で弾いても良いのだけど、やっぱり外で歌った方が気持ちがいい。
近所の公園には隣接した家は無いし、苦情を言われる事もない。
寧ろ人が集まってくる。
今日は何を弾こうかな。
考えながら、ウキウキで下駄箱の蓋を開ける。
「ねぇ、君さ」
靴に手を掛けた時、声を掛けられた。
同じクラスの男子生徒だ。
よく彼の周りに居る。
「はい？」
「なんか、急に大将と距離近くなったやん？
……もしかして、付き合っとんの？」
あまりにも真面目な顔で言ってくるものだから、少し吹き出してしまった。
「そんな訳ないじゃん。
無理無理。多分、私は恋愛対象にすら入ってないと思うよ。ただの……」
ただの、何？
クラスメイト、だよね。
友達じゃない。
そもそも、友達って何をもってして友達なの？
わからない。
「………ただの…クラスメイト、だから」
何で自分で言っててこんなに傷つくんだろうか。
……嗚呼、わかった。
あの日、放課後に2人で話したあの時間が「クラスメイト」と言った瞬間に無くなってしまったみたいで、辛いんだ。
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作者名：☆友梨ぃ☆
作成日時：2019年6月23日 15時
