車輪の唄【菅田将暉】 (ページ28)

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「じゃ、ちょっと恥ずかしいんだけど…せっかくの大将君の誕生日だし、弾き語りするね」

「えっ、すご！！
弾き語り出来るん？！」

「……うん。歌手みたいに高度な事は出来ないけど」

もう一度、ちゃんと音が合っているかを確認してから、私は彼を見る。

「じゃあ、弾くね」

「おん」

ふぅ、と息を吐く。

少し緊張している。

何度も何度も押さえてきたコードで、何度も何度も弾いてきた曲を奏でながら、ゆっくりと歌を歌う。

これもまた、BUMP OF CHICKENの『embrace』。

歌い終わると、彼が小さく息をついた。

「俺、結菜の歌声初めて聞いたかもしれん」

「あはは、そうかも」

「好きやなって思った」

「ありがとう」

私はギターをゆっくりと床に置くと、鞄の中からプレゼント用に包装された小さな箱を取り出した。

「はい、これ誕生日プレゼント」

「………え、今の歌がプレゼントちゃうの？」

「歌もプレゼント」

彼は笑って、プレゼントをゆっくりと受け取った。

「……開けてええ？」

私は頷く。

彼が丁寧に、優しく包装を取っていく。

「………これ」

「ネックレス。
大将君の好みかは…自信ないけど。
きつと、似合うと思って」

彼は満足そうに頷いた。

「好みドンピシャやね。
さすが、結菜やわ」