静かな部屋で【3年A組】 (ページ10)

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母から私の持ち物であったスマホを渡された。

どうやら地面に落ちた時に割れたようで、修理に出していたらしい。

壊れていなかったのが奇跡だろう。

何はともあれ、これで情報収集が可能になる。

嬉しい反面、少し怖かった。

忘れてしまった方が良かった記憶も、きっとあっただろうから。

まず、画素フォルダーを見た。

何枚も何枚も、同じ人達が写っている。

「先生」

わからない事は、先生に聞くのが一番だと学んだ。

スマホを差し出して2人で画面を覗き込む。

「この子、さくらちゃんですよね」

「そうだね」

「隣、私ですよね」

「うん」

「私の隣、これ澪奈ちゃん……ですよね」

先生は、もう黙らなかった。

そうだよ、とすぐに口にする。

「お前は、茅野と景山といる事が多かったと思ってるよ」

確かに、写真はほとんど私とさくらちゃん、そして澪奈ちゃんだった。

「……楽しそうだなぁ」

自分の事なのに、やっぱり違う感覚。

全く違う人の写真を見ているようだった。

画面の中で笑う私達は本当に楽しそうで、忘れてしまった事が悔しかった。