静かな部屋で【3年A組】 (ページ9)

今日:11 hit、昨日:3 hit、合計:64,938 hit

＊ページ9

『ねぇ、今のアリスには私がどう見える？』

場所はいつもの公園。

そして、澪奈ちゃんの隣。

「……そうだなぁ」

この世界での澪奈ちゃんは、現実での生死関係なく生きている。

だから、私も澪奈ちゃん本人に「死んでるの？」なんて馬鹿みたいな確認はしなかった。

この時間が続けばいいと、どこかで思っている自分がいた。

今その確認をしてしまえば、この世界はあっという間に崩れていくような気がして、怖かったから。

「澪奈ちゃんは、いつも楽しそうだなって感じるよ。
何もわからない私の事を受け入れてくれて、笑わせてくれる。
私は、澪奈ちゃんに救われてるよ」

でも……、と続けた。

「私は、澪奈ちゃんを救えているだろうか」

記憶はない。

そもそも、初対面の人と笑顔で話せるようなコミュニケーション能力なんて備わっていない。

私は、澪奈ちゃんにとってどんな存在なんだろうか。

『私は、沢山助けて貰ったよ』

どんどんと不安になっていく心を支えるように、澪奈ちゃんは呟いた。

『アリスが忘れちゃった記憶の中で、私は何度も何度もアリスに助けられたから』