静かな部屋で【3年A組】 (ページ7)

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目が覚めて数日。

その間に、柊先生は毎日来た。

担任の先生が変わり、私のクラスの担任が柊先生になった事も知った。

ただ、私は前の担任の先生を覚えていないので、ただ「へぇ…」と言うしか無かった。

先生は毎日少しずつ、私に関する情報を教えてくれた。

クラスメイトの名簿、写真を与えられた。

ペラペラと1枚ずつ見て、違和感を覚える。

でも、その違和感が何なのかはわからない。

その日は暇で、絵を描いていた。

親がスケッチブックを置いていったのだ。

「貴方は絵を描くのが好きだから」なんて言って。

いつも通りやってきた先生が、私のスケッチブックを覗き込んだ。

「…人を描いてるの？」

私は頷いた。

記憶は朧気だ。

まだ、2回しか顔も見ていないし。

それでも、私の手は慣れたようにその輪郭を描く。

「……私の夢に、少し前から女の子が出てくるようになりました。
「友達になろう」って、屈託のない笑顔で言うんです。
名前は………景山澪奈」

先生が息を呑む。

「………そうなんだ」

暫くの沈黙の後、ようやく口を開いた先生は、絞り出すようにそれだけの言葉を吐いた。

「先生。……何か、澪奈ちゃんについて知っている事があるんですか？
この子は、私が作り出した幻覚？それとも、実在する子？
この子の事を考えると、頭が痛くなります。

──まるで……思い出すなと言っているように」