文学少女の手記【3年A組】 (ページ40)

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文学少女は恐れを知るページ40

「…ベルムズって知ってるか」

彼が口を開いた。

既に美術部の活動が終わり、彼と二人きりになった美術室での事だ。

ベルムズ。

少女は前に彼からその話を聞いていた事がある。

彼の知り合いが武智先生と直接話し、豪翔との繋がりを指摘した際に武智先生が頼った半グレのグループだ。

「……あんまり、知らないです」

少女はそう答える。

彼は少女の前に椅子を置くと、それに腰掛けて口を開いた。

「ベルムズは、ここらをしきる半グレ集団だ。店を開く時なんかはベルムズが関わってくる場合が多い。
そのベルムズはな、フェイク動画を得意としている」

「……フェイク動画」

少女はそれじっくり頭の中で考える。

「…っ！！」

少女は勢いよく立ち上がった。

彼が驚いた表情で少女を見る。

「澪奈っ……」

澪奈が危ないかもしれない。

彼は何も言わなかった。

少女は再び座り直したが、小説など書けるハズもない。

少女の書く話は今、主人公が幸せに高校生活を送る場面で、今の少女の気持ちではその続きなんて何も思いつかなくなってしまったのだ。