文学少女の手記【3年A組】 (ページ38)

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文学少女は本当の友達を模索するページ38

ある日の放課後だった。

澪奈は宇佐美香帆に、香帆が好きだというキャラクターが縫われたハンカチを貰った。

少女も一緒にいたので、ついでのように貰ったものだ。

香帆は「記念写真撮ろ」と言って、少女達と写真を撮った。

「これでフォロワー増える～」

そう言って、スマホをいじる香帆に澪奈は貰ったばかりのハンカチを押し付けて、少女の手を取り早足で去っていった。

「ちょっと……澪奈？」

香帆からだいぶ離れた場所で、少女は足を止め聞く。

「……本当の友達って、なんだろうね」

少女は何も言えなかった。

香帆は澪奈を気にかけていた。

澪奈が1人で昼食を食べていたら、自分が属しているグループに入れてくれていたし、大親友だと言って歩いていた。

澪奈も悪い気はしていないように見えた。

でも、澪奈は本当の友達になりたかったのだ。

フォロワー数とか、そういうのに左右されるものじゃなくて。

友情って言葉だけで繋がるような仲じゃなくて。

「……わからない。
わからないけど……私は、澪奈と本当の友達でありたい」

少女は空気なんて読めない。

少女が必死に考えた言葉が、自分の欲望を澪奈にぶつける事だった。

澪奈は少し驚いたようで足を止めて、それから微笑んだ。

「何言ってんの。もう、私と優詩は本当の友達でしょ」

それが少女には本当に嬉しくて、涙が滲んだ。

ここで泣いてはいけないと、慌てて目を擦って誤魔化したけれど。