文学少女と一生の友 ページ36
とある日の放課後。
いつものようにドキュメントを撮っていると、澪奈が教室の中に目をやった。
少女もその視線を追いかける。
そこには自分の席で眠る茅野さくらがいた。
クラスの中で奴 隷と呼ばれるさくらは、よく少女と澪奈の事を見ていた。
何度もカメラを向けられていた事は自覚している。
澪奈は少し笑って、逢沢君に向き直った。
「ごめん。今日はこれで終わりにしてもらっていい?」
逢沢君が頷きカメラを止めると、澪奈は少女の手を引いて教室に入っていく。
少女は混乱しながらも澪奈の後をついて行った。
さくらの机の上には、沢山の写真が置かれていた。
どれも隠し撮りをされた澪奈と少女の写真だった。
澪奈と少女は顔を見合わせ小さく笑う。
澪奈がさくらに興味を示し始めたのは少女も知っているし、隠し撮りをされている事も知っていた。
稀に隠しきれておらず、少女も澪奈も気づく事があったからだ。
澪奈は1枚の写真を手に取った。
少女がそれを覗き込んだ時、丁度さくらが目を覚ました。
さくらは2人を見て驚き、慌てて写真を掻き集める。
「よく撮れてるねぇ」
澪奈が言った言葉に少女も素直に頷いた。
この日、2人は新しい友達をつくった。
さくらは奴 隷だなんて言われているけれど、少女からしたらさくらは奴 隷になんて見えなかった。
確かに多くの意見に流されはするものの、それは少女だって同じであったし、ほとんどの人間はそうしてなんとなく生きていると思う。
けれど、さくらは他と違う。
自分がしなくてはいけないと思う事は率先して行った。
押し付けられた学級長も、その地位に立ったからにはと責任を持って行動していた。
だから少女にとって、さくらはある種の憧れの存在である。
さくらと澪奈が仲良くしていても、少女は不思議と嫉妬しなかった。
それは、少女が少し後ろを歩いていたらすぐにどちらかが気づいて真ん中に入れてくれるからだ。
2人は、少女にとって大切で仕方がない友達だった。
…これが、親友にまでなり、少女と一生付き合っていく事になる人との始まりである。
澪奈にとっても、さくらは親友であるハズだ。
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らお - 綺麗な作品ですね。これからも更新頑張ってください。楽しみに待っております! (2019年5月6日 1時) (レス) id: 98f96d60d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:☆友梨ぃ☆
作成日時:2019年4月25日 20時