文学少女の話 ページ12
少女の書く話がようやく完成した。
女の子が自 殺をもってして世の中の異常さを訴える話。
次の日の朝、少女は書き上げた紙の束を持ち、駆け足で学校に向かった。
一刻も早く読んで欲しかった。
彼に、澪奈に。
凄いねと褒めて欲しかった。
純粋な感想が聞きたかった。
少女は普段全く走らない校舎の廊下を全速力で走った。
武智先生が何か言っていたような気がするが、少女の耳に入ってくる事は無かった。
少女は満面の笑みで美術室のドアを勢いよく開ける。
その音にビックリしたのか、彼が慌てたように美術準備室から出てきた。
「どうしたんだ?そんなに嬉しそうにして」
「書けたんです!!」
訝しむように少女を見ていた彼の目が変わる。
自分の事のように喜んでくれた。
「1番に読んで欲しくて!」
「景山じゃなくて良かったのか?」
「2人に1番に読んで欲しいんです!
二人分印刷してきました!」
印刷する量が多すぎて、昨夜は家の印刷機を働かせに働かせた。
仕舞いには「もう働きたくない」とでも言うかのように動かなくなってしまい、深夜のコンビニに駆け込んで1枚1枚印刷したものだ。
印刷機の件は今日、家に帰ったら両親に怒られるだろう。
そう考えると少女の心は沈んでいくが、完成した作品が少女の心を支えていた。
「わかった。なるべく早く読むな」
「ありがとうございます!」
さぁ、澪奈の元に行かなくては。
少女は普段しないスキップをして廊下を進んだ。
今思い返せば、明らかに変な人だ。
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らお - 綺麗な作品ですね。これからも更新頑張ってください。楽しみに待っております! (2019年5月6日 1時) (レス) id: 98f96d60d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:☆友梨ぃ☆
作成日時:2019年4月25日 20時