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文学少女は彼に恋をする ページ2

少女……酒井優詩は、この春に魁皇高校に入学した高校1年生だった。

特に入りたい部活もなく、将来の夢も決まっていない。









少女は文を書くのが好きだった。

同様に、文を読むのも好きだった。

誰かが綴った文字を、あれこれと想像しながら読み進める。

やがて、その想像に感化され、自分でも新しい世界を作り文字を綴る。

そんな事の繰り返しがただひたすらに好きだった。

しかし、それ以外には特に自慢出来るものも、自信を持つものもない。

受験だって学力ギリギリで入れたようなものだし、なんなら面接で「本の素晴らしさとそれらが人々にもたらす影響」について延々と語った事で面接官が「コイツ面白いな」みたいな軽さで入れてもらったのだと思っているレベルだ。

だからか、「文芸部」なんてものが存在しない魁皇高校では所属する部活が見つからずにいた。

最初に志望校を決めた時、部活の欄まで見ればよかったのだ。

今更になってどうしようもない後悔が押し寄せる。

しかし、部活には入りたい。

なんたる自己中心的なエゴ。

何かを手に入れたくば、何かを手放さなければならない。

それは生きるものにおいて、とても大切な選択であると自覚はしていたが、実際に自分の身に起こるとどちらも手に取りたくなってしまう。

二兎を追う者は一兎をも得ず。

まさにこの言葉の通りになる事もある。

もう、それならいっそどの部活にも入らない方がいいのでは無いだろうか。

そう考えながら校舎を何処に行くでもなく、フラフラと歩いていた時だ。

少女は出会った。

まさに運命だと、直感的に感じたのだ。

それは、美術室の目の前で。

少女の足は止まった。

美術室の中にいた人物から目が逸らせなかった。

それ程までに”彼”に魅せられていたのだと思う。

夕日に照らされた美術室の中で、1人キャンバスに向かって絵の具で色を付けていく。

その真剣な眼差しと姿を、美しいと感じたのだ。

少女は自分でも気づかないうちに、彼に恋をした。

世間の言う、一般的な恋ではなかった。

別に、彼の事を欲しいとは思わなかったし、彼と話す事すら人見知りでもあった彼女には難しい話だった。

少女はただ、今見ている彼の姿そのものに惹かれたのである。

文学少女は澪奈に惹かれる→←これは、物語の序盤に過ぎないのだろう。



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設定タグ:3年A組 , 柊一颯 , 景山澪奈
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らお - 綺麗な作品ですね。これからも更新頑張ってください。楽しみに待っております! (2019年5月6日 1時) (レス) id: 98f96d60d6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:☆友梨ぃ☆
作成日時:2019年4月25日 20時

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