1つの灯りが芽吹く時。

35話 ページ35

出生届けを出した。

おめでとうございます、と言って貰えて嬉しかった。

私の体調も少しずつ回復してきている。

ただ、先生の体調は悪化していく一方だ。

ダメ。

ダメだよ。

泣いちゃダメ。

でも……。

役場から病院に戻るまでの間にある公園で、私はボロボロと涙を零した。

先生は、きっともう長くない。

私が諦めちゃいけない。

信じなきゃいけない。

そんなの、そんなのわかってるけど。

「……朱莉？泣いてんの？」

隼人とはつくづくいい所で出会う。

「どうした？愛優は？」

「っ……愛優は、先生の…とこ」

「なんで…泣いてんだよ」

「っ……先生が……先生がっ……死んじゃったら、私っ…」

隼人がハッとして私を抱きしめる。

「隼人っ……どうしようっ……！！」

「……朱莉が、見届けるんだよ」

「……え」

「朱莉が、最後までずっとアイツのそばにいて、見届けてやんだ」

先生が死んでしまうのは、受け入れなきゃいけない事実だって事。

それも、わかっている。

「っ……う……」

この日、隼人の前で初めて声を出して泣いた。

先生の前で同じようにして泣いたあの日の事を思い出す。

余計に悲しくなって、暫く泣きやめなかった。

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