1つの灯りが芽吹く時。

19話 ページ19

「あっ、あと」

私は大きくなってきたお腹を触る。

「この子の性別がわかりました」

「……どっち？」

「まだ、股を閉じて隠してる可能性もあるんですけど」

私はクスッと笑って先生に言う。

「女の子です」

先生は嬉しそうに笑った。

「そっか………女の子かぁっ」

先生はきっと、どちらでも喜んでくれた。

でも女の子の方が、やっぱり嬉しいんだろうか。

「女の子かぁ……そうか……」

すごく嬉しそうに笑っている。

ああ、数ヶ月前の私の考えは合っていたんだ。

この子の存在が、彼に生きる活力を与えてくれる。

「………朱莉、ごめんな」

「……え？」

「…そばに、いてやれなくて。
本当は、ずっとずっとそばにいて、支えてやりたいのに…。
朱莉……我慢、してるだろ？
色んなこと」

「…………」

先生は、悲しそうに微笑んでいる。

その表情が、私の涙で見えなくなった。

「っ……寂しい………寂しいよ、一颯さんっ。
怖いよ………痛いよっ………苦しいよっ…」

私は初めて、先生の前で声を出して泣いた。

溜め込んでいたものが全部、全部、溢れてきた。

もっと前から、寂しいって事も、苦しいって事も、痛いって事も、全部全部言いたかった。

それでも、先生の方が何倍も苦しいからって、私よりずっとずっと痛いからって、先生に言えないでいたのだ。

「ごめん……朱莉」

先生も、私を抱きしめて泣いていた。

「ごめん……ごめんっ…」


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順位を頂きました。
ありがとうございます！！

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