1つの灯りが芽吹く時。

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『朱莉へ。
朱莉、まずは謝るね。ごめんなさい。
妊娠させてしまった事、苦しい時に、寂しい時に、一緒に居てやれなかった事。
朱莉だって苦しかったのに、常に俺のそばにいようとしてくれたこと。
心強かった、ありがとう。
朱莉は高校1年の頃から、自分の意見を言うのが苦手だったね。
常に誰かにくっついて、違うと思っても口にできず無理やり頷いていた。
俺はそんな朱莉が心配で、部活で話すようになったけど、まさかこんなに惹かれるなんてな。
朱莉は魔法使いだったのか？(笑)
自分の意見を言うのは苦手だったけど、朱莉は誰よりも他人想いだった。
だから、景山ともずっと一緒にいて、ずっと景山の事を信じてやれたんだね。
朱莉が初めて俺に訴えた「私のせいで澪奈は死んだ」という言葉。
それは、茅野と同じで、景山の手を離したのは茅野と朱莉の2人だったけど、本当に殺した訳じゃないんだよ。
朱莉に会って、惹かれて、どんどん生きたくなって、死にたくないって思うようになった。
朱莉が俺に生きる希望をくれたんだな。
朱莉が俺に会いに来る度、エコー写真や赤ちゃんの様子を教えてくれる度、俺は嬉しいのと同時に、もっと生きていたい、その気持ちと闘っていた。
朱莉が、初めて愛優に会わせてくれたあの日。
生きなきゃって、強く思ったよ。
愛優を産んでくれてありがとう。
これから先、朱莉は沢山苦労をしてしまう。
でも、その苦労も承知で結婚して、愛優を産んでくれたんだよね。
本当にありがとう。
こうして思い返せば、俺は朱莉に何もしてやれなかったな。
何処かに出掛けることも、結婚式を挙げることも、あろう事か結婚指輪でさえあげることができなかった。
だから、朱莉は俺が死んだ後も幸せに生きて欲しい。
俺の事なんて忘れて、愛優と、新しい人と、新しい人生を歩んで欲しい。
朱莉が気づいてたかどうかは知らないけれど、甲斐は朱莉に気があったみたいだぞ〜(笑)

俺が死んでも、朱莉が何処で、どんな人と幸せになっても。
俺は朱莉と愛優を愛し続けるよ。
愛してる 柊一颯』

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