27話 ページ27
家に帰ってウトウトしていた時、電話の着信音で目が覚めた。
もしかして、病院から?
なんて、焦って飛び起きたけど全然違った。
相手は隼人だった。
「もしもし」
『あ、もしもし…朱莉?俺だけど』
「オレオレ詐欺?」
『違ぇよ!隼人』
「ふふ、知ってる」
『んだよ…』
「何か、用事?」
『……………あのさ、単刀直入に言うけど』
隼人の息を呑む音が、此方にまで聞こえてきた。
私も何故か緊張してしまう。
『……お前さ、ぶっきーとの子供…妊娠してんの?』
「っ………そう、だよ」
『………そう、なんだ……』
「どこで、知ったの?」
まさか、唯月が言うとは思えない。
それに、さくらも言わないだろう。
もしかしたら先生本人?
それは大いに有り得る。
『いや、ぶっきーの見舞い…行ってきた。
そしたら…エコー写真の日記持ってたから』
「……ああ、そっか」
『………おめでとう』
「え」
まさか隼人からお祝いされるとは思わなかった。
「あ……ありが、とう」
『…ぶっきー、あんな調子だし。
お前、大変だろ』
「……まぁ、ね。
心が苦しくなる事も、数え切れないくらい。
……でも、同じように先生も色んなことで苦しんでる」
『……もし、ぶっきーに出来ない事があんなら、俺呼んで。
いつでもお前のトコ行くから』
「あ、うん」
どうしてここまでしてくれるのか。
どうしてここまで言ってくれるのか。
この時はまだ、それくらいの疑問でしか無かった。
隼人が私の事を高校時代から好きだったんだ、って気づくのはもう少し後になる。
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rina - hoshinaさんこれからも頑張れ! (2022年12月7日 23時) (レス) @page37 id: 265817b150 (このIDを非表示/違反報告)
rina - 小説とても感動した (2022年12月7日 23時) (レス) @page37 id: 265817b150 (このIDを非表示/違反報告)
蒼炎 - とても読み入って、泣きそうになりました!!とても面白かったです!感動しました! (2020年1月26日 13時) (レス) id: 874e279780 (このIDを非表示/違反報告)
hoshina(プロフ) - akiraikaさん» ありがとうございます!!そう言って頂けて、ホントに嬉しいです!!これからも頑張ります!! (2019年6月12日 12時) (レス) id: 8ee6c3887f (このIDを非表示/違反報告)
akiraika(プロフ) - とても素晴らしかったです。一行読む度に涙が出てなかなか読み進められない。本当に素敵なお話でした。これからも頑張ってください。 (2019年6月12日 11時) (レス) id: f2ff021446 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:hoshina
作成日時:2019年3月15日 12時