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25話 ページ25

「……一颯さん」

「うん」

「……あと、少しですね」

私は自分のお腹を撫でながら言う。

「そうだね…」

「……少しだけ、弱音を吐いてもいいですか…」

先生は微笑む。

「いいよ」

私は安心して、ポツリポツリと言葉をこぼす。

「あのね………嬉しいんです。
あともう少しで愛優ちゃんに会えるって。
……でもね、不安で…怖くもあるんです」

先生は優しく私の手を取った。

「そうだよな。
……そろそろ、ここに来るのもキツくなってきたんじゃないか?」

「………」

何も言えなかった。

その通りだったから。

「無理はしないで」

「………一颯さん」

「…朱莉が、俺に対して何も出来ないって思っているのと同じように、俺も…朱莉に何もしてやれないのが悲しくて、苦しいよ」

私は、ふふっ、と笑った。

なんだ。

「なぁんだ。
私達は同じ悩みを持ってたんですね。
お互い様だ。
それでいて……運命?」

先生が笑った。

笑いすぎて咳き込むくらい。

「朱莉は面白いこと言うな。
運命かぁ………運命、だったのかもなぁ…。
朱莉に、会えたあの時から」

先生と目が合ったあの日から、私は先生をずっと目で追い掛けてきた。

先生が私を押し倒して、「愛してる」と耳元で囁いてくれたあの日、それが運命だったのかもしれないなんて思ったりもしたんだ。

「……私、先生の………一颯さんの、描く絵が大好きです。
あの澪奈の絵も、卒業式だっていって描いてくれた似顔絵も。
部活の時間に描いていた沢山の絵も1つ1つ。
全部大好きです」

「……ありがとう」

「もし、一颯さんが辛くないなら……また、描いて欲しい」

先生は頷いた。

その後に、あのスケッチブックを取り出して私の手に握らせた。

「開けてみて」

「……え?」

ゆっくりと、1枚捲ると私の好きな先生の絵がそこにあった。

鉛筆で描かれた……私の寝顔?

また1枚。

いつか私が持ってきたあのお花。

また1枚。

腕時計を見る隼人。

先生にとっても驚いたものだったらしい。

他にも沢山の人が描かれていた。

先生のお見舞いに来た人達だろう。

「……すごい…」

「暇つぶし、こんな事しかなくてさ。
捗ったよ」

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rina - hoshinaさんこれからも頑張れ! (2022年12月7日 23時) (レス) @page37 id: 265817b150 (このIDを非表示/違反報告)
rina - 小説とても感動した  (2022年12月7日 23時) (レス) @page37 id: 265817b150 (このIDを非表示/違反報告)
蒼炎 - とても読み入って、泣きそうになりました!!とても面白かったです!感動しました! (2020年1月26日 13時) (レス) id: 874e279780 (このIDを非表示/違反報告)
hoshina(プロフ) - akiraikaさん» ありがとうございます!!そう言って頂けて、ホントに嬉しいです!!これからも頑張ります!! (2019年6月12日 12時) (レス) id: 8ee6c3887f (このIDを非表示/違反報告)
akiraika(プロフ) - とても素晴らしかったです。一行読む度に涙が出てなかなか読み進められない。本当に素敵なお話でした。これからも頑張ってください。 (2019年6月12日 11時) (レス) id: f2ff021446 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:hoshina
作成日時:2019年3月15日 12時

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