storia【3年A組】 (ページ28)

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「やだっ………やめてっ！！」

「お前、あの橙野渉の子供なんだってな。
いやぁ、可愛い訳だ！！」

ストーカーをしていた人間は数人いた。

先生との電話中、1人の男が私を羽交い締めにして、それから少しすると私達の前にワゴン車が止まった。

それもまた、男の仲間で私は無理やり乗せられそうになっている。

「いや……嫌っ！！」

「人気俳優の子供ってだけで、デカい肩書きがあっていいなぁ！
俺達、そういうビックな女犯したりよ、調子乗ってる男絶望させんのがだぁいスキなんだわ」

「犯しがいありそうじゃん。
すっげぇ可愛いしよぉ！」

「助けて………せんせっ……助けてっ！！」

先生、前に言ってた。

好きなヒーローがいるって。

アクション俳優に憧れてたって。

俺も誰かのヒーローになりたいんだ、って。

「せんせっ……助けて！！」

「とっとと入れや！！」

無理やり押され、私は後部座席に転がるように入ってしまった。

「っ………」

もうダメだ。

そう思った時、男の1人が後部座席のドアの前から急に居なくなった。

怖くて動けなくて、声だけを聞いていた。

「んだよてめぇ！！」

誰かが……男達と戦ってる？

数分後、警察が到着すると同時に先生が顔を出した。

「橙野っ！！」

先生は、私に手を差し出した。

私はその手を掴む。

グッ、と引き寄せられて私は先生の腕の中にいた。