【リメイク】及川ママ子育てをはじめる。【ハイキュー!!/男主】

＊第24話【ヤンキー国見と乱闘。】 ページ26

ポケットの中のスマホと荷物をAのそばに置く。ひどく冷静な自分が居た。

「先に手を出してきたのはそっちですから。」

相手が先輩なのは分かっていた。青葉城西元バレー部だとかどうでもよかった。

「あのねえ、ちょっと転んだだけじゃない?過保護だねえ。」

「そうですよ。青葉城西バレー部はAに過保護で溺愛してる馬鹿ばっかですから。」

何かとバレー部に因縁を付けてきては衝突を起こす。その度に正攻法で主に岩泉さんと及川さんが大人しくさせているけれど、俺にはそんなことできそうに無かった。

「…あのさあ、国見ちゃん。カッコつけてんのか知らないけど勝てると思ってんの?」

「まあ、そうなりますね。」

あからさまな挑発をひとつ。
そうすれば腹部に1発、竹刀をお見舞いされた。

それなりに痛みはあるけれど、特になんとも思わない。
表情を変えない俺に驚いてか竹刀は腹に当てられたまま。

「…これ、貸してください。」

竹刀を強奪して勢いよろしく振り下ろした。

俺に竹刀を御見舞したやつと、Aを転ばせたのは違う人で、どちらにも1発ずつ御見舞して後は防戦。

無意味に暴れても剣道に申し訳ない。

やれる所まで攻撃を受け流しつつとにかく待った。

「国見ちゃん!」

「国見!」

「まま!岩ちゃん!遅いよばかああああ!」

「ほんと、遅いんですけど…!」

こいつらの天敵、及川徹に岩泉一。

「やべ…!逃げろ!」

蜘蛛の子を散らすように逃げ出したやつらを見送り、及川さんはAを抱き上げた。

「…ごめん、遅かったみたい。」

「…俺はそんなに怪我もないんで。すいません、Aには怪我させちゃいました。」

「俺、大丈夫だよ。擦り傷くらいだし…。」

服の裾で俺のスマホについた血を拭うA。
転んだ拍子にAは手から出血。

「…ごめんね、A。怖かったでしょ?」

「ううん、大丈夫!英にーちゃん、ありがとう!」

はい、とスマホを受け取れば岩泉さんへの着信と乱闘の動画が残っていた。

青葉城西の殆どはAに過保護だ。
もしもの時のために、とスマホの指紋認証はAに登録させるし、パスワードも簡単なものにして教える。

俺だって例外じゃない。
今回はそれに救われた。

「国見ちゃん、ありがとうね。」

「ほんとお前は悪いにーちゃんだな。」

「岩泉さん、それはおれにとっては褒め言葉です。」

とりあえず俺はAの青葉城西一の過保護モンスターを自称したい。

＊第25話【青城と会いたい人。】→←＊第23話【英にーちゃんと不良さん。】

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