＊第1話【及川とママ。】 ページ3
わんわん泣き出した子供にバレー部メンバーは固まった。
咄嗟に抱き上げたことによりメンバー達は眉間にシワを寄せる。
「…おい、誰との子供だ。
1組の小川か?2組の三浦か?3組の八木橋か?4組の阿部か?5組の佐藤か?6組の山内に八木澤もいたな…。」
「全部違うし!俺彼女居ないじゃん!」
岩ちゃんがつらつらと羅列した苗字の女の子たちは全員俺に告白してきた子だが振った。
いや好きじゃないし!俺の彼女はバレー!
「俺の子供じゃないし!親戚でもないし誰かわかんないの!」
俺も焦っていて半ばキレ気味で話せばメンバー達は分かってくれたようで黙った。
咄嗟に抱き上げた子供は酷く冷たくて震えている。そしてまだ声を押し殺して泣いていた。
「泣かないで?大丈夫だよ…?」
声をかければ更に大きな目から涙が溢れ出てくる。耳を塞いで泣く姿にどこか違和感を覚えた。
「寒いねえ、どしたの。こんな所で。」
とりあえず俺の家に入りながらメンバー達に目で「入れ。」と合図しながら家の中に戻る。
ストーブの前に座らせてフリース素材のブランケットで包めばその子の涙は止まりかけていた。
程よく冷ました緑茶を出せば両手で受け取り、マグカップをしっかり手で包み込み温まり始める。
さり気なく俺もストーブの前、子供の隣に座った。
メンバー達はこたつでぬくぬくしている。
「お名前は?」
「小泉…A…。」
小泉、いそうでいなさそうな苗字。
そしてAちゃん、緊張しているのか寒いのか、声がぷるぷる震えている。
「そっかあ、Aちゃんかあ。」
「お父さんとお母さんは?」
「…内緒。」
「そっかそっか。俺は及川徹。」
「?」
俺が名乗った途端、Aちゃんは不思議そうな顔で俺を見つめてきた。
「まま、でしょ?」
「…え。」
「まま。」
ちょっと照れたように笑ったAちゃんの放った言葉に青葉城西バレー部は俺以外、静かに爆笑し始めた。
「まま…?」
「うん、まま。」
マグカップを持ったまま、俺に擦り寄って来たAちゃんは「やっぱりままだ。」と言って笑った。
「あの、俺男だからね…?」
「それでもままだよ?」
「いや、あの、ママ、じゃない…。」
そう言えばAちゃんはまた両目に涙をため始めた。
「まま、じゃないの…?」
話の展開が分からなすぎて、ついていけなくて
「ちょ、ちょっと…?泣かないで…!?」
でもこの子は泣かせたくないと思った。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
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のすけ - お子様バレーが現実にあるシッティングバレーと似ていてすごく面白かったです!!更新楽しみにしてます!! (2018年4月23日 17時) (
レス) id: e2aa47530a (このIDを非表示/違反報告)
月夜桜(プロフ) - えまこさん» 作者ですら懐かしいと感じております…(￣▽￣;)リメイク前からありがとうございます！ (2017年4月2日 19時) (レス) id: c734ffa514 (このIDを非表示/違反報告)
えまこ - なつかしーっ 前にずっと読んでましたー！ (2017年4月2日 14時) (レス) id: 7a21e8127b (このIDを非表示/違反報告)
月夜桜(プロフ) - 長らくお待たせしてすみませんでした！ただいまです！ゆっくりではありますが更新していくのでよろしくお願いします！ (2017年4月1日 22時) (レス) id: c734ffa514 (このIDを非表示/違反報告)
白みーつ(プロフ) - 及川ママシリーズ待ってました！おかえりなさいです( ；∀；)これからも更新楽しみ待ってます！ (2017年4月1日 9時) (レス) id: 06920b74fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月夜桜
| 作者ホームページ：
作成日時：2017年3月30日 17時
