第五十三話｢晴天大迷惑｣ ページ6
｢意味…？この行為に…？殺人に…！？｣
すると彼の顔は悲しげになり、弱く微笑み俯く。その態度に私は何も言えなくなり､黙り込む。
｢…ご最もだ。殺人に意味を求める時点でナンセンスだ。
だが、殺人を犯 す度に何か大切な事が思い出せる様な気がするんだ。絶対に思い出さなければいけない。絶対に向き合わなければいけない過去に。｣
彼は私の顔を見て、今にも泣き出しそうな切羽詰まった表情を浮かべ訴える。
｢お願いだ。君の死で私に教えてくれ。
ソフィーって誰なんだ…？彼女は…俺にいつでも微笑みかけてくれる彼女は…誰だ何処に居るんだ！？
教えてくれ中本A！！俺に…大切な記憶を…蘇らせてくれ！！｣
『依頼人』の悲痛な叫びが教会に響き渡る。私はその叫びに応える為に震えながらも立ち上がり､動きにくいウエディングドレスの裾を雑に破り捨てる。
そして私は痛む腹から声を出した。
｢知らっねぇわよ！！！！｣
幾ら声が遠のくとほざく依頼人でも聞こえたのか、目を見開き私を見つめる。
そうだ。恐怖なんて吹き飛ばせ。痛みなんてかき消せ。死に目は慣れてるだろう。
私は条野さんに好かれた､心に悪魔と恐れられる相棒を宿した､武装探偵社の期待の新人である。
｢申し訳無いけれど、私は死ねないわ！依頼解決の為に命を捧げる探偵が何処に居るのよ！ナンセンスだわ！！私は､貴方と違って明るい明日が待ってる！条野さんからの告白の返事を言っていないし、他の機会でウエディングドレスを着たいの！
それに、やられてばかりの私はもう居ない！
貴方含め馬鹿げた命令を下した阿呆集団を燃やし尽くさないと気持ちが晴れないわ！てかもう！本当に大迷惑！！｣
｢…そうか。それが君か。
それが、武装探偵社としての君か。｣
あっけらかんと立ち尽くしボソリと呟く彼に間髪無く否定を入れる。
｢いいえ？残念ながら探偵としての勤務時間はとうの何時間前に終了しましたの。
中本Aとして、貴方に立ち向かわせて頂くわ。｣
気圧されたのか、後退りして気が抜けた笑い声が聞こえる。
｢…君は、いつか俺が見た太陽みたいだ。いいや、燦々と熱く照らす太陽そのものだ。私には眩し過ぎる。
格好良いよ、君。｣
｢お世辞をどうも有難う。じゃあ、もう二度と貴方がしょうもない間違いをしない様に、ハチャメチャにぶっ飛ばしてあげる。｣
依頼人は眩しそうに手を額にかざし、またも微笑む。
｢今日は良い天気だ。｣
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肉塊(プロフ) - 低鈴さん» 好きになってもらって何か嬉しいです。連載までまた少し待ってください。これから飛ばします (2022年12月11日 20時) (
レス) id: 9c26b5fd8b (このIDを非表示/違反報告)
低鈴 - 何かめっちゃすきいぃぃぃ！ってなりました！更新頑張って下さい！応援してます！ (2022年12月11日 20時) (レス) id: 8c328be9ea (このIDを非表示/違反報告)
肉塊(プロフ) - 花陽さん» いつも本当にありがとうございます。これからもまた心臓に悪い展開を続けていきますので何卒〜 (2022年7月29日 23時) (レス) id: 9c26b5fd8b (このIDを非表示/違反報告)
花陽(プロフ) - 続編おめでとう御座います､【熱】の血の花嫁編も佳境に入ってきまして､とても楽しく読ませて頂いております｡此からも応援してます! (2022年7月29日 23時) (レス) @page1 id: 7fe3a7997e (このIDを非表示/違反報告)
肉塊(プロフ) - 三斗(トリップ願望者)さん» うぃ〜‼️ありがとうございます‼️これからも驚かせていきます！ (2022年7月29日 22時) (レス) id: 9c26b5fd8b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：肉塊 | 作成日時：2022年7月29日 21時
