十五節{incongruity} ページ47
「よぉクソ野郎。有り金寄越せや。」
「ひ、ひぃ!!」
標的は今にも泣きそうな顔で腰を抜かし、部屋の奥へ這いながら進む。その行く先に、黒い修道服を見に纏った男が居た。だが部屋が暗いせいで、男の顔は見えない。
「たっ早く私を助けろぉ!いや、たふけてください!」
標的はその男に懇願し、深々と土下座する。何とも惨めな姿である。
「お前がその豚のボディガードか?偉く惨めな姿になっちまってよ、悲しくないかい?」
俺が彼にそう聞くと、「いや。」と否定を入れ革靴を鳴らしながら俺の方に近付く。段々と彼が見易い所まで近付き、俺は唖然とする。
「実に滑稽で気分が良いよ。…正義感の強いコーティア君は理解出来ないと思うがね。」
「…フレッド?」
「…違うよ。」
彼の黒い髪に白い肌、疲れきった顔を見て俺は故郷に居た親友を思い出したが、何を言ってんだ俺は。彼奴と俺は同い年だろ?此奴は見た感じ年上だ。フレッドな訳無いのに。何言ってんだ俺は。
『コーティア!何やってんだ!』
C班からの通信に俺はハッとし、仕切り直しに咳払いをした。
「お喋りは終わりかな?それじゃあ、」
そう彼が言った後、見逃す程の速度で俺の顬に鞭の様な蹴りを入れた。
「!?」
気が付けば俺は遠くの壁に打ち付けられ、顬と背中からはとんでもない量の血が出ていた。俺はその常人離れした彼の攻撃に戸惑いながら体制を戻そうとする。
「鏖殺だ。」
しかし瞬く間に打撃が襲ってくる。物凄い速さで一発一発が強い。標的が目の前っていうのにこんな事初めてだ。
やべぇ、死ぬかも。
“兄貴はさ、教団って知ってる?”
修道服に、雇い主…用心棒…殺し屋集団に悪魔。俺は今目の前に居るこの男がミモザが言っていた“教団”の悪魔である事を理解した。
「…じゃあ、手加減は要らねぇな。」
俺はボコスカ殴られる中、拳を胸にドカンと叩き付ける。
「ほう、それが切り札か。」
心臓の鼓動は早くなり、その周りから熱が上がっていき次第に皮膚がゴツゴツと凸凹になりながら硬くなって赤く発光していく。次第に体全体が熱された鉄の鎧の様に変化する。
「フーッ!フーッ!」
周囲の物が燃え始め、男は後ろに下がり面白そうに俺を見る。
「中々面白そうな切り札じゃないかコーティア君。きっと触れるだけで皮膚は焦げるだろうね。ステゴロメインの私が相手するには相性が悪そうだが。とてもしんどそうじゃないか。消耗戦は得意だよ。」
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肉塊(プロフ) - 低鈴さん» 好きになってもらって何か嬉しいです。連載までまた少し待ってください。これから飛ばします (2022年12月11日 20時) (レス) id: 9c26b5fd8b (このIDを非表示/違反報告)
低鈴 - 何かめっちゃすきいぃぃぃ!ってなりました!更新頑張って下さい!応援してます! (2022年12月11日 20時) (レス) id: 8c328be9ea (このIDを非表示/違反報告)
肉塊(プロフ) - 花陽さん» いつも本当にありがとうございます。これからもまた心臓に悪い展開を続けていきますので何卒〜 (2022年7月29日 23時) (レス) id: 9c26b5fd8b (このIDを非表示/違反報告)
花陽(プロフ) - 続編おめでとう御座います、【熱】の血の花嫁編も佳境に入ってきまして、とても楽しく読ませて頂いております。此からも応援してます! (2022年7月29日 23時) (レス) @page1 id: 7fe3a7997e (このIDを非表示/違反報告)
肉塊(プロフ) - 三斗(トリップ願望者)さん» うぃ〜‼️ありがとうございます‼️これからも驚かせていきます! (2022年7月29日 22時) (レス) id: 9c26b5fd8b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:肉塊 | 作成日時:2022年7月29日 21時