七節{Hamilton} ページ39
汚いゴミ山の上から、俺を面白そうに覗き込む警官のハミルトン。「見てらんねぇ。」と言って彼は下着やダサい服を俺に投げ渡す。俺は衣類を受け取り、ハミルトンの服装を確認する。ハミルトンはいつも通り警官の制服を着ていたが、足元は小汚いスニーカーだった。
「…ハミルト、」
「おおっと!待て待て!此処で着替えんな!周りの貧民が睨んでくる!別の場所で着替えるぞ!こっち来い!」
そう言って、ハミルトンは俺を近くの薄暗いトンネルの様な場所に移ろうと催促する。俺は裸のまま黙って彼に従い、ゆっくりと移動する。
「…お前、昨日の事覚えてるか?同僚からの情報によると、お前の家が放火魔に狙われてたらしいが。あの後お前放火魔に会ったのか?」
歩きながら、ハミルトンは突然俺に分かりきった質問を投げかけてきた。
「俺の家族が燃やされた事は覚えてる。何故放火魔が俺の家を狙ったのかなんて…逆に俺が知りてぇよ。」
「そうか…。なんでだろうな。」
間抜けなハミルトンは、俺と目を合わせずに、薄暗いゴミで出来たトンネル、というか袋小路を早足で進む。
「…ハミルトン、俺からも質問何個か良いか?」
「ああ。何だ?」
「フレッドはどうしてる…?」
するとハミルトンは一瞬固まり、「フレッド…?」と呟く。
「…ああ!フレッドな!フレッドは“教会”に預けられたよ!」
思い出したかの様な口振りで想像と違う返答を俺に伝える。教会?何故教会というワードが出てくる?一夜で何があった?預けられた?
「フレッドに…何かあったのか?」
「…ところで、お前のその髪!本当にどうしたんだ?まるで燃え盛った炎みたいじゃないか!」
俺の顔を見ずに、前をスタスタと歩きおちゃらけた巫山戯た様な声色で話を逸らすハミルトン。俺は彼のその見え見えで誤魔化しきれてない下手くそな演技に段々と腹が立っていく。
「…おい。いつまで歩かせる気だハミルトン?お前の目の前はもう壁しか無いぜ?
俺を殺したいなら、正々堂々かかって来いよ。一々回りくどいんだよノロマ。」
ハミルトンはその場で止まり、ゆっくりと振り返る。彼の表情は、先程までのおちゃらけた態度を取ってた人間がする様な表情ではなかった。
「殺す?警官である俺がお前を?頭でも打ったのか?」
「…俺の家は燃やすのに、表情は冷たいんだな?馬鹿で間抜けな放火魔さんよぉ!!その冗談も冷た過ぎて風邪引そうだぜ。」
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肉塊(プロフ) - 低鈴さん» 好きになってもらって何か嬉しいです。連載までまた少し待ってください。これから飛ばします (2022年12月11日 20時) (レス) id: 9c26b5fd8b (このIDを非表示/違反報告)
低鈴 - 何かめっちゃすきいぃぃぃ!ってなりました!更新頑張って下さい!応援してます! (2022年12月11日 20時) (レス) id: 8c328be9ea (このIDを非表示/違反報告)
肉塊(プロフ) - 花陽さん» いつも本当にありがとうございます。これからもまた心臓に悪い展開を続けていきますので何卒〜 (2022年7月29日 23時) (レス) id: 9c26b5fd8b (このIDを非表示/違反報告)
花陽(プロフ) - 続編おめでとう御座います、【熱】の血の花嫁編も佳境に入ってきまして、とても楽しく読ませて頂いております。此からも応援してます! (2022年7月29日 23時) (レス) @page1 id: 7fe3a7997e (このIDを非表示/違反報告)
肉塊(プロフ) - 三斗(トリップ願望者)さん» うぃ〜‼️ありがとうございます‼️これからも驚かせていきます! (2022年7月29日 22時) (レス) id: 9c26b5fd8b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:肉塊 | 作成日時:2022年7月29日 21時