第五十一話「良い夢」 ページ4
「私の異能『死のドレスを花婿に』は、対象に自分の血液を飲ませる事で発動します。出来る事は、相手の血を固めたり噴射させたり…血液操作ですね。確か一日三人までしか操れない筈。困った事に、脳や心臓付近の血は操作出来ないんです。
確か…特に相手が女性だと操作がしやすかったんですっけ。其処等辺も未だあやふやですね。」
依頼人は自分の能力を明かしながら、倒れ込み叫ぶ私の元へ近付き、血の短剣で滅茶苦茶に破られた腹を彼の履いている硬い革靴でゆっくりと短剣を折りながら圧迫される。
「グッアアあァ!」
血はどんどん流れて行き、腹部付近のドレスの色は完全に赤色に染まっていた。
「…可笑しい。普通ならこの位で女性は死ぬ筈。出血も激しいのに何故…?まぁ良い。
私はとある集団に依頼を受けてですね。貴女の内側に眠る『悪魔』の正体を暴けとの事で。まぁ、暴いた所で貴女達の命は狩らせて頂きますが。」
『悪魔…か。俺を狙ってねぇ…。』
相棒の困った様な声が脳内に響く。
お願いよ。交代して彼を倒して。
『そりゃ無理だ。』
何故。
『それじゃ敵の思う壺だ。今回はお前と条野の旦那とで勝て。何、助けれる所は助けるさ。
それとそうだ。その、何だ。色々すまねぇな。』
彼はそう言い残し、頭の何処かに消えていった。
「おはようございます依頼人さん。最悪の目覚ましを有難う。」
ボロボロで、如何にも直ぐに消えてしまいそうな弱々しい声が依頼人を威嚇した。
「嗚呼、おはよう条野さん。良い夢は見れたかい?」
其処に居たのは、全身至る所から血を流し、肩や脇腹に私と同じく皮膚を破られた様に突き出した短剣が出ており、肩を上下にして浅い呼吸をする痛々しい条野さんが立っていた。
一瞬安堵するが、私は彼がこんなにも怪我した所を見た事が無い。それ程、今回の敵は強いという事だろうか。私は一気に不安になり、この場から逃げ出したくなった。
「久々にまた苦しい思いをしましたよ。私は目が見えないから、彼女がどれ程傷付いたのかが分からない。
生臭い血の匂いしかしないこの場で、好きな人が死にそうなこの状況で、夢など見てられるものですか。」
「それはそれは、なんとも格好良い事を言いますね…」
依頼人が茶化した瞬間、向こう側の壁まで飛んで行った。そして私の体は楽になり宙に浮いた。久々の懐かしい感覚だ。
お姫様抱っこである。
「逃げましょう中本さん。」
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肉塊(プロフ) - 低鈴さん» 好きになってもらって何か嬉しいです。連載までまた少し待ってください。これから飛ばします (2022年12月11日 20時) (レス) id: 9c26b5fd8b (このIDを非表示/違反報告)
低鈴 - 何かめっちゃすきいぃぃぃ!ってなりました!更新頑張って下さい!応援してます! (2022年12月11日 20時) (レス) id: 8c328be9ea (このIDを非表示/違反報告)
肉塊(プロフ) - 花陽さん» いつも本当にありがとうございます。これからもまた心臓に悪い展開を続けていきますので何卒〜 (2022年7月29日 23時) (レス) id: 9c26b5fd8b (このIDを非表示/違反報告)
花陽(プロフ) - 続編おめでとう御座います、【熱】の血の花嫁編も佳境に入ってきまして、とても楽しく読ませて頂いております。此からも応援してます! (2022年7月29日 23時) (レス) @page1 id: 7fe3a7997e (このIDを非表示/違反報告)
肉塊(プロフ) - 三斗(トリップ願望者)さん» うぃ〜‼️ありがとうございます‼️これからも驚かせていきます! (2022年7月29日 22時) (レス) id: 9c26b5fd8b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:肉塊 | 作成日時:2022年7月29日 21時