第六十三話「信用ねぇなぁ!?」 ページ16
「はいこれ、相棒君にプレゼント。」
太宰は背中に隠していたのか、紙で包装された何かを俺の胸元に軽く投げた。俺は怪しさのあまりそのプレゼントと太宰を交互に見てしまう。
「そんなに警戒しなくても良いよ。ほら、開けて見てご覧。」
胡散臭い笑顔と台詞を信じる様で癪だが、俺は素直に紙を破ってプレゼントを確認する。
其処に詰められていたのは俺の好みの服だった。所謂ストリート系。流行りに乗ったイカした服一式、綺麗に折り畳まれて入っていたのである。
「え、これ俺にくれんの?」
「勿論だとも。幾ら女性の体に精神を宿しても、君はまだヤンチャしたい少年だろ?君には、その位はっちゃけた服装がお似合いさ。」
俺は久々に生身の人間にプレゼントされた事に胸が温まるのを感じた。無意識に、貰った服を俺は強く抱き締めた。
「おい、お前…真逆あの服。」
「嗚呼、安心したまえ国木田君。ちゃんと経費で買ったから。無断だけどね。」
そのヤベぇ発言に国木田は切れ、怒鳴りながら太宰の首を絞めユサユサと揺らした。それに他に集まった社員達はいつも通りと言わんばかりの呆れた表情をしていた。
俺を攻撃しに来た訳じゃないのか?
「とぉ…ころで!相棒君!君がいつまでも表に出ているという事は!もしかしてAさんの体の支配権を交代出来ないんじゃ無いのかい!?」
太宰がそう言うと国木田の行動は止まり、社員達も驚いた様な顔をする。
「真逆…中本さんの精神が…し、」
敦が血相変えてそう呟くと、視線が一気に俺の方へ向く。
「…生きてるよ、Aは。ちょっと疲れ過ぎて体を動かせないだけだ。何度も戦いの後呼びかけたけど出なかった。俺は何もやってない。ただ仕方なく出社してやってるだけだ。」
「証拠を出してくれないと僕は信じないぞ。」
敦が俺の顔を強く睨む。喧嘩腰である。
「待ちたまえ敦君。今の君じゃ相棒君には勝てないさ。『謀殺のコーティア』偶に噂に聞くよ。豪国の必要悪…ね。素敵な響きじゃないか。
…乱歩さん。彼が嘘を付いていると思いますか?」
シャーっとベッドの隣のカーテンが勢い良く開き、俺は視線を其方に変えた。すると其処の隣のベッドに名探偵が真顔で横たわっていた。
「無いね。彼はちゃんと正直に話しているとも。」
「だってさ。
まぁ、取り敢えず今は我々の話を聞いて欲しい。必要悪君。」
そう言って太宰は前に体を出し、上目遣いする様な顔でそう言った。キツいわ〜。
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肉塊(プロフ) - 低鈴さん» 好きになってもらって何か嬉しいです。連載までまた少し待ってください。これから飛ばします (2022年12月11日 20時) (レス) id: 9c26b5fd8b (このIDを非表示/違反報告)
低鈴 - 何かめっちゃすきいぃぃぃ!ってなりました!更新頑張って下さい!応援してます! (2022年12月11日 20時) (レス) id: 8c328be9ea (このIDを非表示/違反報告)
肉塊(プロフ) - 花陽さん» いつも本当にありがとうございます。これからもまた心臓に悪い展開を続けていきますので何卒〜 (2022年7月29日 23時) (レス) id: 9c26b5fd8b (このIDを非表示/違反報告)
花陽(プロフ) - 続編おめでとう御座います、【熱】の血の花嫁編も佳境に入ってきまして、とても楽しく読ませて頂いております。此からも応援してます! (2022年7月29日 23時) (レス) @page1 id: 7fe3a7997e (このIDを非表示/違反報告)
肉塊(プロフ) - 三斗(トリップ願望者)さん» うぃ〜‼️ありがとうございます‼️これからも驚かせていきます! (2022年7月29日 22時) (レス) id: 9c26b5fd8b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:肉塊 | 作成日時:2022年7月29日 21時