第四十九話「永遠の愛」 ページ2
??side
「君小説家志望だったのかい?!」
静寂が走る化学室で、ソフィーの大きな声が響き渡る。俺は彼女の発言に恥ずかしくなり、周囲には誰も居ない筈なのに「声が大きい!」と彼女の口を手で塞ごうとするが、逆に手を掴まれ身動きが取れずに居た。
「意外だが、良いじゃないか。夢を語る事はそれに近付くって言わないかい?聞かせておくれよ。どんな話を書きたいのか。」
ソフィーはニヤニヤ笑いながら俺の顔を覗く。俺はまたも恥ずかしくなり、下を向いて小さく口を開いた。
「大きな…火を吐く猿が…空から出て来て…人々を襲う…超弩級なぶっ飛んだ話…って!!笑うんじゃねえよ!!」
腹を抱えて雪崩落ち、床に転がりケラケラ笑うソフィーを優しく蹴る。
「ぐぇえ!!猿が私の腹をグリグリしてる〜!」
「クッソ!!だから誰にも言いたく無かったんだよ!忘れろ!寝て忘れろ!!何だったら寝かし付けてやる!!一生な!!」
「それはプロポーズかい?」
「殺してやるって意味だよ!!」
彼女は「笑った笑った。」と満足そうに目尻の涙を拭く。逆に俺は恥ずかしさのあまり顔が赤くなり涙が出てきた。
「でも良いじゃないか。SF。私は好きだ。
是非君が書く物語を読んでみたいものだ。書いてないのかい?私が君のファン一号になってやろう。」
俺はソフィーのその甘い台詞に乗り、偶然持っていた自前の小説を彼女に渡した。
〜
依頼人side
「永遠の愛とは。」
建物内にある教会にて、私と条野さん、そして白く光るウエディングドレスを着た中本さんの三人がそれぞれの場所に鎮座していた。が、私以外の二人は気絶している。この場合大きな人形が椅子に座らせられていると考えた方が自然だろう。
「婚礼の儀式に居る神父共は、よく『病める時も健やかなる時も…』と我等新郎新婦に言う訳だが、その後の人生、二人の関係は果たして永遠の愛を誓った関係がずっと続いていると言えるのだろうか。
残念ながら私はその様なロマンチストでは無い。一緒に生活していく中で嫌な部分が見えるかもしれない。故にその後の人生は死ぬ迄互いに命を削り合いながら生活していく同居人に過ぎないと思っている。どうやら私は愛が分からないらしい。
私が思う永遠の愛とは、いっその事何方か一人が死ねば良いのでは?と考えている。
愛を誓い合った仲なら、何方かが死んでも確定で永遠に想われるだろう?
どうせなら、綺麗な思い出のまま死んだ方が良い。」
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肉塊(プロフ) - 低鈴さん» 好きになってもらって何か嬉しいです。連載までまた少し待ってください。これから飛ばします (2022年12月11日 20時) (レス) id: 9c26b5fd8b (このIDを非表示/違反報告)
低鈴 - 何かめっちゃすきいぃぃぃ!ってなりました!更新頑張って下さい!応援してます! (2022年12月11日 20時) (レス) id: 8c328be9ea (このIDを非表示/違反報告)
肉塊(プロフ) - 花陽さん» いつも本当にありがとうございます。これからもまた心臓に悪い展開を続けていきますので何卒〜 (2022年7月29日 23時) (レス) id: 9c26b5fd8b (このIDを非表示/違反報告)
花陽(プロフ) - 続編おめでとう御座います、【熱】の血の花嫁編も佳境に入ってきまして、とても楽しく読ませて頂いております。此からも応援してます! (2022年7月29日 23時) (レス) @page1 id: 7fe3a7997e (このIDを非表示/違反報告)
肉塊(プロフ) - 三斗(トリップ願望者)さん» うぃ〜‼️ありがとうございます‼️これからも驚かせていきます! (2022年7月29日 22時) (レス) id: 9c26b5fd8b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:肉塊 | 作成日時:2022年7月29日 21時