迷惑 【エイトフットのジョー】2 ページ10
中に入れてしまった手前、突き返す訳にもいかないので紅茶を出すことにした。ヴェールさんとのティータイム以来の紅茶だ。それを飲むエイトフットさんはどこか優雅だったことは見間違いだと信じたい
「あなたのお悩みなんですかぁ?」
『人間関係それとも……』
「いや、誰が続けろっつったんだよ」
私はティーカップを置いて茶菓子に手をかける。アップルポイズンさんがくれたアップルパイにフォークを入れて分かれた小さな欠片を口に運ぶ。本当はスキャターと食べる予定だったのに……
『ご要件は何でしょう、意味もなしに私達の部屋の前をうろついてる貴方ではないでしょう?』
「昨日のことで、聞きたいことがあってな」
『……何も覚えていませんが、力になるなら』
そうかよ、と目をそらしてから昨日のことを話し始めた。分かったことは私がジャックハートさんに向かって斧を振り回し、その矛先はジャックハートさんの首を狙っていたという。全てを聞いた時、ひとつ思い出した。
『「許してくだい」……』
「んあ?何をだよ」
『いえ、何も』
なんとなく繋がり出している昨日の出来事。
エイトフットさんは、眉間にシワを寄せて紅茶を飲んだ。いつの間にかアップルパイは彼の腹の中に落ちていった。それを確認してから私は立ち上がり、彼を見送る準備をした。それを察したのか、渋々立ち上がりドアの前に立つと「ごちそうさん」と笑った。
なんとも不快な、嘲るような顔で。
『存在が迷惑だわ……』
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作者名:東雲大我 | 作成日時:2018年10月22日 2時