Happy Villains Story!!【短編集】 (ページ31)

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プリティ・スカー《無い》ページ31

｢ハッピーボーイとどうなの？｣

談話室で天井ばっかり見ていたAに声をかけた。名前を呼んでみても、目の前で歌ってみても、ピョンピョン跳ねてみても、Aは動かない。だから、ハッピーボーイのことを聞いてみた。そしたら、どっかの紫色の陰気なタコと同じ目が大きく開いて、体がぴょんと跳ねてから、床に尻もちをついてスカーちゃんを見つめる。

『……!?スカーさん、いつのまに』
｢5分くらい前だよぉ～？｣

最近、時計っていう道具と時間って言うのを教えて貰ったんだー、もちろんダーリンにね♡
スカーちゃんは、ちょっと頭が良くなったのです！

『え、えっと……何か御用ですか？』
｢ハッピーボーイとどうなの？｣
『用件はそれですか？』

頷いて答えを待ってると、ゆっくり立ち上がって『特に何もありません』と笑顔で言った。何もないってことは、喋ってもいないし、廊下とかですれ違っても見て見ぬふりってやつをしているって事？それってなんか、

｢気持ち悪いね～｣
『私の顔がですか？』
｢ううん～、Aはスカーちゃんが10番目に可愛いって思える顔｣
『1番は誰です？』
｢スカーちゃんだよぉ♡｣
『ですよね～』

Aは笑ってそう言うと、何かを思い出したかのように声を出した。Vに呼び出されてたんだって。すっかり忘れてポケーっとしてたみたい。バカだなー。そう言って慌てて談話室を出ていくAに手を振った。

……あれ、なんの話してたんだっけ？