星が夜に溶けたみたい２-Fuma

075 ページ26

「あのさ、またこんがらがっちゃうのやだから先に言っておくんだけど。」

「うん？」

「しばらく会えない。」

「・・・え？」

な、なんでぇ？

「んー。察してって言うのはやめる。」

「・・・うん。」

「その泣きそうな顔やめてくんない？言い辛いわ…。」

「ごめんなさい。」

泣きそうな顔、してる？

だって本当になんだか泣きそうなんだけど。

幸せの絶頂に居たところ凄く辛いこと言ってくるくせに変わらずに髪を優しく梳いてくれる。

でももうそんなことされたって眠れやしないよ。

「ほら、卒論迫ってんだよ。」

「卒論？」

「そのあと、試験もあるしさ。まぁそっちはコマ数少ないからいいんだけど。」

「え？なんで卒論？」

「はい？出さなきゃ卒業できねーじゃん。」

卒論？卒業？

え？ええ？

なんか私、ずっと勘違いをしていたのかも知れないんですけど。

「風磨・・・もしかして4年生なの？」

「は！？」

「え？」

「なに言ってんの！？はぁ？もう、貴女、本当にやだ！」

頭を優しく梳いてくれていた手を離して私の頬にかけそのままちみぎった。

さっきまで目尻を下げて穏やかに見つめられていたのに、風磨の目元がつってる。

「い、いひゃい。」

「初日の記憶がなさ過ぎる。それ理解しきれてない俺が悪いの？」

「ごめんなひゃい。」

「あー、俺が悪いね。もう、いい。」

頬からやっと手を離されてそこに自分の手を重ねて撫でた。

絶対、赤くなってる…。

だって覚えてないんだもん…。

いや、覚えてないことを怒られてるんだって解ってるけど。

そこまで記憶失くすくらいハメ外したことを咎められてるって解ってるけどさ。

「21歳って言うから…。」

「早生まれなんだけど。」

「誕生日はいつ？」

「3月。…3月7日。」

「3年生だと思ってたんだもん。」

「俺、基本的にもう火曜しか学校行ってないんだけど？」

そうだよね…。

私も君と火曜日しか大学で会ったことないや。

4年の後期ならゼミと後数コマくらいしか受けないよね。

076→←074

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す