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玄関を開けて電気を付け風磨を先に通し、自分も中に入った。
風磨に背を向け、扉を閉め震える手を押さえつけ施錠した。
そのタイミングで両肩を掴まれ流れるような動作で振り向かされる。
体をトンと押され扉に背を預けさせられ逃げられないように左耳の横に手を付かれた。
そのまま反対の手で顎に指をかけ無理やり視線を合わせられる。
「心配、すんでしょーが。」
「心配?」
「するでしょ。」
「どうして?」
「連絡取れなかったら当たり前でしょ。」
ムッとした表情をしているし声だっていつもより随分と低く掠れている。
淡々と話しているけれど、それは逆に感情を隠そうとしているからで、風磨はきっと凄く怒っている。
どうして。
連絡が付かなかったから?
本当に私を心配してくれたの?
もう私、いらないんでしょ?
ちゃんと察したよ。
間違ってた?
もっと都合の良い女にならなきゃいけなかったの?
私から会いたいって言うのはダメだけれど、風磨からの電話には出て風磨の好きなときにだけ会って風磨の都合の良い女に。
「別に、大丈夫だよ。」
「俺が心配しちゃ悪いかよ!」
「っ!」
声を荒げられて無意識に私の肩がビクリと震えた。
それを見て風磨は私の顎を掴んでいた手を離し、その手で私の頭を優しく撫で付けた。
風磨の手、大きくて好きなんだって。
知ってる?
風磨って本当に優しいんだね。
誰にでも優しいんだね。
「貴女って解んない。手に入ったって思ったのに、簡単に逃げてく。」
ムッとした表情を崩して浅く笑った。
まるで自嘲するみたいに。
笑ってるのに泣いてるみたいに。
「風磨…?」
瞳をじっと覗き込むと目を細めて笑みを深めた。
綺麗な瞳の色。
笑むときに左の口角が上がってえくぼが出来る。
その窪みすら愛しいよ。
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和奏(プロフ) - キュン死にしそうやばい (2022年3月31日 3時) (レス) @page50 id: eab8bc5332 (このIDを非表示/違反報告)
みち(プロフ) - イチさん» 読んでいただけて嬉しいです!ありがとうございます!風磨くんと彼女さんのやりとりがすごく好きで何度も読ませていただいてます。卒論頑張れ風磨くん!(笑) (2017年10月23日 22時) (レス) id: 85310a9d6c (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - あまーいふうまくんに、めちゃくちゃきゅんとします!続き楽しみに待ってます。 (2017年10月23日 0時) (レス) id: 60b6eaf521 (このIDを非表示/違反報告)
イチ(プロフ) - みちさん» みちさん!読んで下さってありがとうございます!!とても嬉しいです(*'ω'*)めっちゃ更新楽しみにしてます。毎度速攻お邪魔してます(笑)ペース早くて尊敬です。 (2017年10月22日 22時) (レス) id: d3ad2b2239 (このIDを非表示/違反報告)
みち(プロフ) - こんばんは。風磨くんの言葉と行動が素敵で…一気に読ませていただきました。イチさんの書かれる文章も大好きです。これからも楽しみに読ませていただきます。 (2017年10月14日 20時) (レス) id: 85310a9d6c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イチ | 作成日時:2017年6月25日 7時