星の雨２

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「思い出すの、もしかして、怖いんか？」


「俺、大事なことを忘れてる気がしてるんです。
けど思い出したくない記憶で、
思い出さへんように、
無意識に自分で防御してるって感じることあって」


「仕方ないかもしれへんなあ」


「淳太社長は何か知ってるんですか？
前世の俺のことで」


「知ってるけど、
それは小瀧くん本人が思い出すか、
濱ちゃんから聞いて欲しいねん。
俺の口から言われへん事やから」


「濱ちゃんに？なんでですか？
濱ちゃんも記憶があるんですか？」


濱ちゃんって、他の人から名前を聞くだけで、
最近では、過剰反応してまうようになってる。


いよいよ、末期の片想いやってことも気付いてるねんけど。


気持ちって、形はあってないような、


自分のものやのに、自分では決められへん、制御も出来へん。


厄介なものや。


「それは秘密。
仕事もう終わりやろ？
ご飯でも行こか。
何食べたい？
ご馳走するから遠慮せんと言い？」


「焼肉！と言いたいですけど、ダイエット中なんで。
和食で」


「小瀧くん、細いのになあ」


「俺、割と太りやすいんです」


「そうか、アイドルも大変や」


「アイドル？俺が？」


「アイドルやろ？
ツインタワーは今や国民のアイドル」


淳太社長の言葉に若干照れつつ。


事務所の裏口から出たら。


そこで、あの子が待ち伏せしてた。


鈴木晶馬くん。


フルネームで覚えてしもて、忘れられへん。


一文字でも、この名前にある文字を目にすると、
胸がズキンとなるから、困ってるねん。


「小瀧さんに、お話があって来ました」


社長の秘書兼運転手の高田さんが車から降りて来て、
晶馬くんが俺に近寄るのを止めようとしてる。


「ええよ、話すだけやろ？」


社長の一言で、
高田さんが一歩、後ろに引く。


「早く来ようと思ってたのに。
時間だけが過ぎちゃって。
ごめんなさいっ」


いきなり頭、下げられてしもて、
なんのこっちゃ、分からへんし、戸惑う。


「あの、頭、上げて下さい」


「あの夜、崇ちゃんの恋人のふりなんかして。
僕はとっくに振られてるんです。
ブラウン管にあなたが初めて現れた、あの時に」


「え・・・？」

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