Lの偶然/探偵は純情派 ページ28
「翔太郎くんまた私のケーキ食べたでしょ！」
「はあ？何日も置いとくから優しい俺が食べてやったんだろうが！」
すっかり見慣れた光景。咎める亜樹子さんに食って掛かる左さんを見るのは、ここに顔を出すようになって何度目だろうか。両の指で事足りなくなった頃に数えるのはやめてしまった。
大抵の場合、この後、亜樹子さんのスリッパ叩きに怒った左さんが追いかけっこを始める、というのがセオリー。巻き込まれる前にフィリップくんの所へ避難するとしよう。
「あっ、こら待て亜樹……子ぉ！？」
ぱこんっ、という軽快な音に顔を上げると、眼前には素っ頓狂な声を上げて宙を舞う左さん。あまりにも突然すぎる出来事に、抵抗する暇もなく思いきりぶつかった。
全身を襲う打ち付けた痛みに顔を顰めながら、ゆっくりと目を開く。ぼやけた視界がクリアになって浮かび上がったのは、至近距離にある左さんの顔。えっ、睫毛長い。しかもいい匂いする。
「わ、悪りぃ…すぐ退ける！」
「だだだ大丈夫ですので、はい！」
「翔太郎、少し話があるんだけど…」
なんてタイミング。左さんが起き上がろうと慌てたためにバランスを崩し、額と額が重なった瞬間。ガレージの扉が開き、出てきたフィリップくんと目が合った。驚きで見開かれた瞳は私の姿を滑り、左さんの方へと向かって行く。出てきたらこんな状況が目の前に広がってたらびっくりするよね、なんて一人で納得してみたり。
「ちょうど良かった、話したいことが増えたよ」
「や、あの、フィリップ？これは誤解…」
「何を誤解することがあるんだい？この状況から言い逃れるのは至難だと思うけど」
翔太郎が迷惑をかけたね、と私に声を掛けて、未だに私を押し倒したまま弁解を続ける左さんの首根っこを掴んで引き立たせた。ポンコツな私の頭は急展開な状況を飲み込もうと必死だ。寝転がったまま目を回して現状理解を務める私の横に亜樹子さんがしゃがみ込み、ごめんね、と謝った。誰も悪くないし、強いて言うなら危機察知能力に欠ける私の責任だと思うのだけど。
「亜樹子さん、あの、止めなくていいんですか…？」
「いいのいいの、翔太郎くんにはあのくらいお灸据えなきゃ。フィリップくーん、がっつりお説教しちゃってー！」
「ああ、任せておきたまえ亜樹ちゃん」
「だから！人の話を聞けって！」
抗議も虚しく奥の部屋へと連行された左さん。
その時のフィリップくんの顔がとても恐ろしかったので、怒らせないように気をつけようと思った。
2019:レゾン・ギリギリ・タイムブレーク→←だから先へ進めない
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横峯俊(プロフ) - 星野よだかさん» 私もたまにやってしまいます・・・予測変換って怖いです (2020年1月30日 21時) (
レス) id: c8474ba40d (このIDを非表示/違反報告)
星野よだか(プロフ) - 横峯俊さん» ひぇぇお恥ずかしい！盛大に間違えてますね…お見苦しいものを載せてしまい申し訳ございません！ (2020年1月30日 14時) (レス) id: 61486b168d (このIDを非表示/違反報告)
横峯俊(プロフ) - いつも楽しく拝見させて頂いてます。一つ変換ミスを見つけたので、修正お願いします。壇黎斗のとの字の漢字が変換ミスしてますよ！これからも応援します (2020年1月30日 12時) (レス) id: c8474ba40d (このIDを非表示/違反報告)
星野よだか(プロフ) - ゆずさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！詩島剛は特に気合入れて書いていたのでそう言っていただけて安心しました。拙い文ですが、これからもよろしくお願いします！ (2019年9月23日 20時) (レス) id: 61486b168d (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - よだかさんの書く剛好きでした！これからも応援してます！ (2019年9月23日 19時) (レス) id: 59916f9a2d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星野よだか(ほしのよだか) | 作者ホームページ：なし
作成日時：2019年8月15日 20時
