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9. ページ11

夕が休んだ日、クラスメイトは皆彼を心配していた。
それもそのはず。あんなに病気や体調不良に似合わない人間がいるものか。

移動教室のとき、田中くんと目が合った。そういったときは必ず向こうから挨拶が飛んでくるのに、彼は気まづそうに目を逸らした。それを気にせずに会釈ができるほどのコミュ力すら持ち合わせていないので、私も何事も無かったように彼の隣を通り過ぎた。

あの様子では相当昨日の試合の結果に落ち込んだのか。ずっと美術部に所属している身からするとあまり分からない。コンクールに選ばれなかった時のような空虚なのだろうか。

(……でも、確かに、気持ちいい負け方では無かったのかも。)

私自身、バレーに特別知識があるといわれれば否だ。
ただ、幼少期に夕とオリンピックを見させられたり、パスの練習に付き合わされたりしていたお陰か、何となく試合の見方は分かっていた。(とはいえ、バレーをやっている人からすれば全然なのだろうが)

あの試合は烏野からすれば相当なストレスだっただろう。決めるところを全部ブロックで弾かれていたのだから。相手は横断幕や応援もいるほどの強豪校。県内でどれくらい強いのかまでは分からないが、試合の仕方からも烏野とは大きな差があることは確かだった。

夕は次の日も、また次の日も来なかった。体調不良にしては長すぎる。自然にクラスメイトたちは夕の話題から飽きたようにしなくなっていった。
相変わらず夕からの連絡は帰ってこない。元から返信は早い方では無かったが、ここまで連絡がないと心配になる。これでも一応幼なじみなのだ。

(今日、家に行くか……。)

夕の家は私の斜め前にある。所謂ご近所さんでもある。
彼の家に行くこと自体、そんなに苦では無いが、何せ久しぶりなのだ。

朝練がない日は必ず夕が迎えに来てくれていたし、遊ぶのも私の家が多かった。
夕の家と言えばあのファンキーなおじいちゃんもいるのだろうか。会う時毎回違う若い女性を連れた夕のおじいちゃん。夕には絶対に見習ってほしくない。幼なじみが女をコロコロ乗り換えるクズだと判明した瞬間絶縁してやるからな。

…………と思っていたのだが。

『……ここ、私の家だけど。』

何故か家の玄関に夕が座り込んでいた。

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(プロフ) - ♡ (2022年12月25日 20時) (レス) @page2 id: 6abbd94f19 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:星宮 その | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2022年12月24日 12時

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