コイバナ【短編集】

めんとむかって ページ38

「すき」


「すき」


俺の後に彼女はそう言う


「愛してる」


「あいして…ます」


ちょっと小声になったのは照れたから


「だいすき」


「わたしもだいすき」


抱きしめる。かわいいかわいい俺の彼女



「離さない」


「離れないよ？」


コテンと首をかしげる仕草がかわいい。


説明が遅れちゃったけど俺たちは今「愛してるよゲーム」というのをしている


こんなの俺の一人勝ちだろと思ったが案外そうでもない。


本気になった彼女の破壊力が尋常じゃない。



「あいしてる」


「だ〜いすき」


ぎゅーって抱きしめ返してくれるその頰に柔らかく口付ける。


えへへって困ったように笑う顔がなによりも愛おしい。



「俺が幸せにする」


「私も、幸せにできるようにがんばる」


甘くて。


例えるなら砂糖をどろっどろに溶かしているかのような幸福感


“ふれたい”そんな想いが溢れる、まぁ、いつものこと。



「ん…」


啄ばむように何回も何回も口付ける。


頭の中がかわいいで埋め尽くされる。このまま閉じ込めたい…。



「げーむはおわり？」


「俺の負けでいいよ」



「まだ言い足りないのに」


むぅって頰を膨らます彼女がこれまたかわいくて。



「また今度ね」


押し倒したい気持ちを抑える。


上目遣いになにかを期待するような眼差し。赤く染まった頰。


そのなにもかもが俺を虜にしていく。



「A」


ぴくっと肩が跳ねる。


たべちゃいたい。


さっきとは違う貪るようなキスをふらせる。



(いいでしょ？)


なんて目で薄く確認して。


俺は溺れるように愛にすがった。

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