コイバナ【短編集】

すれちがい ページ17

「私は、仕事も、貴方も大切にしたいの」



「知ってる！そんなことわかってる。それでも俺はこの生活に耐えきれない！」



急に言われた別れ話。


私が安らげる場所なんて彼しかいなくて、とても大事なのに。




「だから選べ、俺か、仕事か。」




とても、迷っている、


ほんとはすぐにでも貴方だと言ってしまいたい。


でもそれができない理由は、仕事が好きだから。



「貴方を選びたい……でも私はこの仕事のために必死に今まで勉強してきたの、


だから簡単には、手放せないの。」



「じゃあ、どうしたいんだよ。俺だってお前のことが嫌いなわけじゃない。


その、すきだからこそあんまりに相手にされないから、それはひどくないかって」



彼なりの、精一杯の説明に私は揺れる。


よかった、まだ、好きでいてくれる。



嫌いになられたわけじゃない、ととてつもない安堵を覚える




「わかった。仕事とプライベートはちゃんとわけるから。


だから、私から離れていかないで……」




震え声になってしまった言葉を、彼はどう受け止めてくれるだろうか。


思いは、通じるだろうか。



「わかったよ、次はないからな」




その一言で全てが報われた気がした、


貴方の笑顔が私の生きがい、



「まだまだ、これからもよろしくね」




「もちろんに決まってんだろ。」





12月の終わり。


クリスマスは私達を見て微笑んでいた

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