6 ページ8
夕方になりかける前の頃。高島先生から帰宅命令がでた。と、いうのは、一緒に来た子が長野だから今日は早めに私も帰すらしい。
高島先生の都合もあるから、ワガママは言えないけどもう少しいたかったな。
「またな。アイシングとかちゃんとケアしとけよ」
「ちゃ、ちゃんとする」
「あと今日はもう投球禁止」
「うん」
「それ気温も下がってきてんだ、暖かくしてろよ」
「ゆきくん、いつも同じこと言ってる…」
「そりゃそうだろ。それで前風邪ひいたこと俺知ってんだからな!」
「うっ、おとーさんめ…」
「いーや、おばさんから」
おかーさん…、どっちの味方…。
「じゃあ礼ちゃん、後はお願い」
「お願いされました。行くわよAちゃん」
「は、はいっ」
「月宮ー、今度は俺にも投げてくれよー!」
「気をつけろよー!」
「月宮ー!今度の差し入れはクッキーがいいー!」
「は!?リクエストすんなよ!!俺シュークリーム!!」
「お前もかよ!!」
「あ、あはは…」
帰る度に声掛けて貰えることが多くなった。全部に答えられることができず、手を振り返すことしか出来ないけど、それでも皆ちゃんと振り返してくれる。暖かいな。
「A、人気者なんだな」
「え、えーと…」
「沢村栄純っ!」
「ご、ごめんね。どうしても名前覚えられなくて。」
「…じゃあ、もし良かったなら名前で呼んでくれよ。地元の友だち、皆それで呼んでるからさ!」
「えと、栄君?」
「おう!」
「栄君、栄君、うん、覚えた!」
「よしっ!」
初めて同い年の友達ができました。
(御幸君に怒られるわよ)
(どうして?)
(ふふふ)
(?)
9人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:星河実羽 | 作成日時:2023年9月9日 14時