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私があの男の子の球を見たのは全部で11球。
でもそのボールを見ると、なんか動いてる気がする
「気づいたかしら？あのボール」
「なんか、動いてる」
「あれはムービングボール」
「むーび？」
「打者の手元…いいえ、これは御幸君に聞くといいわ」
「高島先生知ってるのに？」
「実際捕っている本人から聞いた方がわかりやすいでしょ」
「なるほどっ」
あの球…どうやって投げるんだろう。
東先輩との決着が着くと、あの男の子は放心状態だった。
打ち取った事になのか、ゆきくんとのバッテリーの事なのか。
「ほら、平気だったろ？」
片方は全然気にしていないようです…。
「結果的にはそうだったかもしれないけど…」
「なーに、ずっと恋しそうにマウンド見てたくせに〜」
「えっ、見てたの？」
「キャッチャーボックスは見晴らしいいからな。それよりこれ外してくれよ」
「自分で外せるくせに」
「いーだろー別にー。あ、それともAちゃんも投げたくなっちゃった？」
「うん」
「たっははー…まじ？」
「うん、投げたい」
投手本能ってやつなのか、すごく投げたいって思う。
「いーよ、俺は別にいつでも受けてやるけど」
「ほんと？」
「ただし、今日は家に帰ったら投げ込み禁止な。約束」
「うん、約束！」
差し出された薬指に、私も絡めとる。
約束、内緒で破った時は、なんでかわからないけど、バレて怒られたんだよね…。
どうしてだろう…。
(ま、またおばさんに確認とるからいいけどよ)
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作者名：星河実羽 | 作成日時：2023年9月9日 14時
