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点差は4点…。まだ、あと2回攻撃ある。大丈夫。
「大丈夫。ちゃんと抑えるから」
「降谷君。頑張って！」
「うん」
降谷君の大会初マウンド。私が立つわけじゃないのに、ドキドキするっ。
「8回の表選手の交代をお知らせします。ピッチャー丹波君に代わりピッチャー降谷君」
ドパァーン！！
音…凄い…。
迷わずどんどん投げてる。観客からのコールが凄い…。
「降谷が伸び伸びと投げている。あの2人いいバッテリーになりそうですね！」
ベンチからみてもリラックスしているのはわかる。これが降谷君の実力なんだ。
結果は負けてしまったけれど、それでもあと1点差まで追いついた。降谷君のバットにかすりもしなかったし…、これは積み重ねれば全国でも通用するレベル…になると思う。
「ははっ、目を輝かせすぎ」
「だ、だって凄かったから」
「負けたけどな」
「でも、収穫はあったでしょ？」
「まあな。降谷今日はお前投げんな。ストレッチしてからバッティングや外野守備に回れ」
「昨日全然投げてないですし、俺まだまだ投げれますよ」
「い い な ！」
「つーん」
「はい無視！！」
昨日のおかげで自信ついたんだろうな。たったの2回だったし、まだまだ燃焼できて無いんだろうなぁ。気持ちはわかる。
「守備やバッティングも大事だよ？いくら投球が凄くても、大事な場面でできなかったら、次回から出してくれないこともあるし」
「それはやだ、やる」
「うん！」
「俺とはえらい違いだな」
「Aもやる？」
「私は昨日の試合もう1回見ておきたいから…」
「ガーン」
「きょ、今日はノリ先輩が投げてくれるって言うし、バッティング頑張って！」
「……わかった」
「ほんと！俺との違い！！」
でも降谷君のこの対応は、ゆきくんを慕っている証拠だと思う。中々先輩相手にこんなこと出来ないもん。
「Aビデオ見るんだったらスコアブックもいるだろ？
とってくるから、先に準備して待っといて」
「うん、ありがとう」
「ずるい」
「試合、みたいの？」
「……いってくる」
「？？」
「はっはー！いってらっしゃーい！存分に扱かれてこい！」
な、なんか今度はゆきくんが嬉しそう。
「じゃあ食堂でな」
「うん」
昨日のことだけど、しっかりと見直さないと。夏の大会はすぐやってくるから。そうしたら…。
そうしたら…、3年生は卒業。部活からいなくなってしまう…。少しでも長く、過ごしたい。
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作者名：星河実羽 | 作成日時：2023年9月9日 14時
