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「おい、今日はもうこのくらいにしておけ。お前投げすぎだ。そんなに飛ばしてちゃ夏まで間に合わねーぞ」
「もう少しだけ投げさせてください、お願いします」
「あと10球だけだぞ」
「ありがとうございます」
降谷君、凄い。まだまだ投げるって言われなくても聞こえる。
あれ?あそこにいるのは栄君?
あ、出ていっちゃった。降谷君かゆきくんに用事、だったら待ってるだろうし。様子を見に来ただけなのかな。
「うしA、やろーぜー」
「う、うん」
いつの間にか10球終わってる。どんどん投げてたのかな。
「お疲れ様降谷君。タオルいる?」
「欲しい」
「待ってね、ドリンクとかも持ってくるから」
「マネージャー業は営業終了してんだろ、自分でいけ。あとアイシングやれよ」
「でも」
「でも禁止」
「Aの投球みたいです」
「ちゃんと肩作るキャッチボールしかまだしねーから、とっとといってこい」
「…」
降谷君は急いで取りに行った。そんなに急がなくても…。
「ほんと世話焼けるよな」
「満更でもないんじゃない?」
「なわけねーだろ。手のかかる後輩だよ」
「わ、私、も?」
「はぁ?Aはほっとけないだぁいすきな女の子」
「っ!?」
「はっはっはっ!忘れてたか?」
そ、そういえば何回か言ってたっ。
「まぁ、高校までは手を出さないから安心しろ」
「あ、あの、待って、私、まだっ」
「絶対俺を好きになる。寧ろ今惚れてないんだったら、覚悟しておけ。絶対落とすし、落とせる自信しかないから 」
ど、ど、どう覚悟しろっと。
「ほらキャッチボール、ん?ちょっといいか」
「え、な、なにっ!?」
いきなり手を取ってまじまじみてる。
け、怪我してないと思うけど。
「爪、剥がれてきてるな」
「え、嘘、割れてるっ!?」
「あー、違う違うネイルのほうな。また塗ってやるよ」
そっちでしたか…。
最近塗り直したばかりだけど…、投げすぎてるの、かな。
「キャッチボール軽くな」
「うん」
前ほどじゃないけど、青道入ってからキャッチボールできる頻度多くなってると思う。時間があるとき取ってくれるって言ってくれたの、覚えてたんだ。
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作者名:星河実羽 | 作成日時:2023年9月9日 14時