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「全く、今すぐ自分の球受けろって。お前はもう一軍の選手なんだぞ。いずれ俺とバッテリーを組むだろ。…もしかして沢村やAのピッチングに何か感じちゃったのかな、怪物くん」
「僕は自分の居場所を掴むためにこの場所に青道に来たんです。がっかりさせないでくださいよ、御幸先輩」
「はははっ、おもしれぇ。気に入ったぜお前!」
「A、もしもの時のために横に離れといた方がいいよ」
「まあ俺はヘマしないけど、一応な」
頷いて、少し離れて横で見ている。
パァンッッ!!
ど、ドーンっていった。今ドーンって。
「どうした?お前が投げたいって言い出したんだろ?遠慮しねーでガンガン投げてこいよ!」
降谷君は少し間があって、それからは時間が許す限り投げ続けた。思った以上に、早く終わっちゃったけど…。今日の試合で疲れたのか、それともスタミナ…の問題かな。
「はははっ!もういーのー?お前スタミナねーな!」
「うぐっ」
言われちゃったね。
「…僕も、Aの球近くでみたい」
「わ、私?」
「今日は遠かったから」
今日投げたのは3球だけだし…。
「ゆきくん」
「ダメ」
「むっ」
「膨れてもダメ。さっきケアしただろ。やった意味なくなる。その抱えてるボール握ってるだけにしてろ」
私はボールを忘れたあの日から学校でも部活でも、肌に離さず持っていた。結構あの時ヒヤッとしたから、もう目の届くとこしか置かないっ。
「じゃあ明日」
「明日なら」
「俺の都合は??」
「明日ならまだいいよね」
「うんっ」
「話し進めるな。はぁー、明日のバッティングで投げる数次第だからな。話はそれから。Aは部屋送ってくからもう寝てろ」
ゆきくんに手を引かれ、室内を出る。
「じゃあ僕はここで。Aおやすみ」
軽くぽんってされた。いつものゆきくんみたいに。
「おやすみ、なさい」
「あいつっ」
これ、なにか意味があるのかな…。
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作者名:星河実羽 | 作成日時:2023年9月9日 14時