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「タイム、ピッチャー交代だ」
「え」
「ん?」
「はぁあー!?ちょっ、待ってください!た、確かにランナーは出ましたが俺はまだ」
「お前の実力はだいたいわかった。9回の表で試合は終わるだろう」
う、裏はないと言われた…。あ、あれだけ点数をとられたらまあ、そうだよね。それにピッチャーって、他に誰か…。
「な、ならあと少し!」
「ピッチャー月宮A!」
………ん?
「なぁっっ!?」
「君が……」
お、オーラが凄い。ベンチにも…、と、隣でも。
「よかったじゃねーかA、試合にでられるぞ」
「え、でも」
「ヒャハハ、でももなんもねーよ。ほら行ってこい!」
「おめええら!!Aの球打てねーよーじゃ一軍なんて当然無理だからなああ!!」
「なんなら変わってあげてもいいよ」
ぷ、プレッシャー…。
「ほらA、マウンド行ってこい。俺は座ってやれねーけどよ、お前らしいピッチングしてこい」
「うん、行ってきます!」
私も、投げていいんだ。ここで…。
「く、悔しいけどほら、絶対打たれるんじゃねーぞ!」
「が、頑張りはするよ」
「ん!!」
私のグローブにボールを入れて、マウンドからおりる栄君。
「監督はなんで月宮なんかをマウンドにあげたんだろうな」
「あいつマネージャーだろ」
当然そう思うよね。
「他の人の言葉なんて気にしなくていいよ。いい結果が出せなくて嫉妬してるだけだから」
「あ、ありが、とう…。えーと…」
「俺は小湊春市。よろしくね」
「うん」
お、男の子だよね。少し癒されるオーラを放ってる気がする。
「A」
「か、かんさん」
「お前をここにあげたのは、お前の本気に対して2、3年生がどのくらい本気をぶつけてくるかだ。投手としてAの全力をあいつらに見せつけてやってくれ」
「…はいっ」
ここにたっている以上男だとか女だとか関係ない。私はただ全力で投げるだけ。
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作者名:星河実羽 | 作成日時:2023年9月9日 14時