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「君ピッチャーに向いてるかもよ」
「え!?今なんと!!」
「そろそろこっちも肩暖まってきたから強めに投げてもいい?」
あ、無視した。
と思ったらいきなり風が吹いた。
ドバーーンッと大きな音を立てて。
「あ、ごめん、力加減間違えた。地元じゃ僕の球受け止めてくれる人がいなくてさ、雑誌の記事を見てわざわざこの学校を受験したんだ。…あの人なら僕の全力投球受け止めてくれるかな」
雑誌の記事…、それってゆきくんのことだよね。
「す、凄い球だね」
「…ありがとう」
あれ?なんかほくほくしてる?
風は吹かないけれど、おとーさんの球と同じくらい?…早かった気がする。
「私も、捕ってみたいな」
「や、やめとけA!怪我するぞ!?」
「ちょ、ちょっとの力でいいから」
「…うん、頑張る」
「頑張る!?お、おいAほんとに凄いからやめとけ!」
私にはあの球投げれない。でも悔しいより素直に凄いと、思う。
「いくよ」
「うん」
栄君に投げた時ほど強くはないけど。
バァンッっ!
「っ…」
「と、とった!?Aすげー!」
「あ、はは。思ってた以上に凄いね…。まだ手がじんじんしてる」
「君も、凄いと思うよ。女の子で僕の球捕ってみたいなんていう人いなかったから」
「でも、ごめんね。私も全力投球、捕れそうに、ないや」
「大丈夫。捕ってみたいって言われて嬉しかったから」
「ありがとう」
(なんかいい空気になってねーか!?)
そろそろ時間かな。
「2人とも片付けよ。皆帰ってきちゃう」
「うん」
「そうだな!」
ゆきくんにも2人ともキャッチボールしてるだけで楽しかったよって、伝えたいな。
(Aちゃーん)
(ゆ、ゆきくん?おかえり)
(ちょーーっとお話したいんだけど)
(え?)
(俺の試合来なかった理由とこの手が赤いことについてじっくり話し合わなぁい?)
(ひぇ…)
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作者名:星河実羽 | 作成日時:2023年9月9日 14時