第4球 友だちと投手 ページ17
「どう?今年の1年」
「豊作みたいですよ。東条君と金丸君は松方シニアでベスト4までいったとか」
そう、なんだ。そういえば、他の人…同級生のこと…あんまり知らないな…。
「ああ、あと1人背の高いクールっぽい子がいて」
「きゃー!!」
声がした方をみるとボールをぶちまけた子がいた。あらら…。
「もーまたあんたなの春乃。まだ見習いなんだから余計な仕事増やさないでよね」
「ま、まぁまぁ」
「こっちはいいからドリンクつくってきてー」
「い、いこう?」
「え?」
「わ、私も作るの、手伝う」
「ありがとう」
慣れないうちは大変だよね。流石にボールをぶちまけたりはしなかったけど、私も大変だったから上手くできない時の気持ち…、よく分かるな。
「ごめんね」
「どうして?」
「私…、迷惑ばかりかけちゃって」
「えーと…、こーはいは、先輩に迷惑をかけていいって、いってたよ?」
「でも、私」
「大丈夫、だよ。私なんていつも、皆から喧嘩うられてたから」
「ええ!?そうだったの!?」
あ、東先輩とか…ね…。
「だから、まだ大丈夫。え、と…」
「私吉川春乃!春乃でいいよ!」
「春、ちゃんでもいい?」
「もちろん!私もAちゃんって呼ぶね!」
確か、一緒のクラスなのに、名前をちゃんと覚えれてなくて、申し訳ない…。なのに優しい…。初めての高校生女の子友達。やった。
授業中、栄君は色んな人に絡まれてる…。授業中は寝てるし…大きな発言をして注目は集めてるけど…、堂々とエース発言。恥ずかしいけど、そんな堂々としたとこは凄いな…。
「よー月宮。江戸川シニア出身の月宮Aだろ?」
「久しぶりだね」
「えー、と」
「同じクラスの金丸信二だ」
「東条秀明だよ。よろしくね」
「お前の事はシニア時代有名だったからな、女性投手なんてそうそういねーし、何しろ俺たちお前に負けたんだからな。覚えてねーの?」
どうだったかな…。お、覚えてなくて申し訳ない。
「じゃまた後でな月宮」
「部活でね」
2人は手を振ってここを離れた。
…結局何しにきたんだろ?
「A」
「ゆきくん?」
「どうした?ここにぼーっと立って」
「ゆきくんこそ、ここ1年生の廊下だよ?」
「ま、様子見を兼ねて迎えに来た。部活行こーぜ」
「う、うん」
あのゆきくん。周りの視線が何故か痛いです。
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作者名:星河実羽 | 作成日時:2023年9月9日 14時