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「お母さん!ただいまっ!」
「おかえり、今おやつ出すからね」
かあさんはとっても優しくて。
仕事はしてない専業主婦で、いつも美味しいお料理を作ってくれて。
今から考えると、お金はどこから?ってなるけれど…その時の僕はまだ子どもで。
そんなことには頭が回っていなかった。
かあさんの楽しみは、とうさんと会うこと。
とうさんは週に一回ぐらい僕たちの家に来る。
手にいっぱいの服や食べ物を持って。
とうさんといるかあさんの表情はとてもやわらかで、幸せそうで。
とうさんが帰っても、そのあとはずっとにこにこしていた。
「ねぇ、お母さん。どうしてお父さんは僕たちと一緒に住んでくれないの?朋君とか、彩芽ちゃんのお父さんは一緒に住んでるよ?」
「えっと…ね、お父さんはね、お仕事が忙しいのよ。だから、たまにしか会えないの。でも、私も貴方も幸せでしょう?」
「うん…」
「少しの幸せがあれば、生きていけるのよ。さ、夜ご飯にしようね」
本当は誰にも話すつもりはなかった、話。
クソみたいな、どこにでも転がっていそうな話。
でも、この今だからこそ話そうかなと思った。
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Leaf(プロフ) - フロチャから来ました。フロチャでは男の子が怖かったけど、この作品を読んだ後は何だか感じるものが違いますね。すごく素敵な作品でした。 (2019年1月14日 21時) (レス) id: b8ce9cd4fa (このIDを非表示/違反報告)
白猫のような(プロフ) - フロチャのストーリーに入り込みました! とても面白いです、更新期待しています! (2018年10月23日 21時) (レス) id: 2e8f40e4be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柴葉ましろ | 作者ホームページ:http://uranai
作成日時:2018年10月21日 14時