【文スト】文スト短編集ですが何か？其の捌【短編集】

夜様リク・スタインベックくんに後ろから抱き付いてみましたが何か？ ページ11

色々と考え事をし乍ら白鯨の廊下を歩いている貴女の平靴の足音がぺたぺた間抜けに反響します。

仕事がひとつ終わり、其の後に設けられる貴重な休憩期間である一日をぼうっと歩き回る事で浪費しつつ、貴女はひたすら足を前へと運んでいました。

特に外交の広くない貴女は誰かの部屋などに遊びにいく宛もなく、唯一仲良くしてくれているスタインベックくんの部屋も訪ねてみたら留守だったので、貴女はやることもなすことも無く歩き回っているのです。

スタインベックくんと貴女は同郷の仲で、病気の両親を抱える貴女と大勢の家族を抱える彼は意気投合し、高給な組合に参加し互いに協力して互いの家族を養っていくことにしたのです。

そう思い返している間にもずっと歩いていた貴女でしたが、流石にすることもないし部屋に帰ろうと思い直します、そして貴女自室への一番の近道である曲がり角へ入ると。

少し先を歩くスタインベックくんの姿がありました。

組合でもある程度の地位につけている貴女達は其々個室を貰って暮らしているのですが、スタインベックくんの部屋は彼がいる道の一本向こうなのです。

不思議に思った貴女が息を殺してふわふわと揺れる金髪の後を追うと、彼は暫く歩いた先にある貴女の部屋の呼び鈴を鳴らしました……、要するに互い互いに会いたがっていたと言う事なのです。

嬉しくなった貴女は思わず飛び出し、スタインベックくんに後ろから抱き付いてみました。

「うわっ、誰ッ……あぁ、葵！驚かされたよ。丁度会いたかった所なんだ、良いところに来たね」

相好を崩して貴女を抱き締め、其れから髪を撫でてくれるスタインベックくんに自分も会いたかった旨を伝えると、彼はより一層貴女への愛しさに満ちた視線を落とします。

「はは、有り難う。立ち話も何だし、部屋に上げてくれるかな。実は君に云いたいことがあるんだ。真剣なこと」

拒む理由がない貴女は布嚢から鍵を取り出し、スタインベックくんを部屋へ通しました。

結論:はよ付き合え(強制)

ジョン「えっと、大事な事って云うのは…」

葵「うん、何？」

ジョン「出来たら、その……僕とお付き合いして頂けないかな、なんて思って…」

ジョン「いや、無理強いはしない！今迄の友人関係が良いのならさっぱり忘れてそうしても構わないから、」

葵「いやっ！わ、私こそ宜しくお願いしますっ！」

ジョン「……ふっ、ふは、締まらないなぁ！」

葵「ふふっ、だね、あはは！」

神瀬十夜様リク・太宰さんに戦闘中「君の事は私が守る」的な台詞を云われましたが何か？→←引きこもり桜花様リク・トウェインくんに「海が綺麗ですね」と云ってみましたが何か？

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