✦ ページ5
✦
「代わりと言っちゃなんだけどこれ。預かってて貰ってもいい？」
「……こちらは」
「後で緑のメッシュがある色男と、小柄なオレンジ色の可愛い子が受け取りにくるはずだから」
そう言いながら札束の入ったアタッシュケースとクリーニングしてもらおうとゴミ袋に入れた服を渡す。
「あとこれも」
先程部屋で用意したカード。
荷物の運搬をする時は皆、このように『A』の文字が刻まれたカードにメッセージを残して情報を共有している。
アナログなやり方だが、ファーザーはこれを酷く気に入っていた。
「内密に、……ね？」
すっと、女性の手の甲を撫でて色目を使えば今まで張り付いた笑顔だったソレが頬を赤らめ「かしこまりました……っ」と感情が昇る声が聞こえた。
「良かった。……んじゃ、会計したいんだけど」
「はい、ただいま……っ、」
要らぬ色目を使ったせいか少し嬉しそうな表情を見せる女性。その幸せそうな笑みにやっぱり魅力なんて感じられず、思わずため息が出る。
トントントン、とカウンターテーブルの上で人差し指を上下に動かして待っていれば、ようやく準備ができたのか「こちらになりますぅ」と媚びを売るような声が聞こえてきた。
「あ、カードで。一括」
「かしこまりました」
「じゃ。どーも」
「いってらっしゃいませ〜」
キャッキャと耳障りな音。
やっぱりハニーの声以外は耳障りに聞こえてしまう。
酷い雑音を聞いてしまったような気分だ。
「はー……、あの店もう二度と使わねぇ……」
所詮顔や金に惹かれただけの女なんて興味が無い。
それに一流のホテルの受付嬢があんなに感情を表に出すのはどうなんだ。裏社会と繋がっている癖に危機感のない女だな。
ますます興味を惹かれないまま、ゆっくり花束を抱えてハニーの家へと向かう。
「7本の赤い薔薇って……、まさかね」
そんなことは無いだろうとは思いながらもてるちゃんが選んで渡しているというのが怖い部分だ。確か薔薇には本数で意味が変わる。
7本の赤い薔薇の花束の意味は『ひそかな愛』だ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 55人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
える - ていう心境です (4月30日 17時) (
レス) id: bc7069de6d (このIDを非表示/違反報告)
える - え、え？え…？えええええええ！？！？ (4月30日 17時) (レス) id: bc7069de6d (このIDを非表示/違反報告)
Stellar(プロフ) - えるさん» わ。ありがとうございます、姫🥰 いっぱい楽しみますわ🥰 (4月19日 12時) (レス) id: 5845111e18 (このIDを非表示/違反報告)
える - LIVE参戦おめでとうございます！私も名古屋公演に参戦しましたが、ほんっとうに最高すぎたので、全力で楽しんできてください！ 行ってらっしゃいませ、姫 (4月18日 16時) (レス) @page41 id: bc7069de6d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Stellar | 作成日時：2024年3月7日 23時
