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「……？」
いくら待てみてもばぁうくんからのキスが一向に訪れない。
もしかしてまた遊ばれてしまったのかと思い瞳を開いた瞬間、唇が触れた。
「んッ？！」
「目、……瞑ってって言ってたのに。
……待て出来なくなっちゃったの？」
「ダメな子」そう耳に注がれた私を煽る声と言葉で沸騰してしまいそうなほど顔が熱くなったのが分かる。
「ご、めんなさ……」
「んー？ 謝るのほんと上手だね」
「うっ、」
「いいよ。意地悪しただけだから」
「！」
い、今のも意地悪だったの……？？
もうっ。……もうっ！
少し頬を膨らませてみてもきっとばぁうくんからは可愛いくらいにしか視界に入っていないんだろう。
「ふふっ。……でも、そっか。今月は何かとイベント続きだもんね」
「うん、付き合ったのも11月だし……」
今年で付き合って4年目の記念日。
それを迎えることも嬉しくて、何かとお祝い事が多い11月は1年の中でも忙しかったりする。
「お前の誕生日も。忘れてんじゃん」
「あ」
「本当に忘れてたの？ ったく、もっと自分の事も大切にして」
「……はぁい、」
そうだった。
自分の誕生日もあるんだった。
あんまり自分に関心がないせいか忘れてしまっていたがどうやら今年で27歳になるらしい。
27年も生きているだなんて実感が湧かないが、そのうちの4年間はばぁうくんと過ごせていたと思うと幸せ。
なんだか最近は1日があっという間な気がしちゃう。
楽しい時間は過ぎていくのが早いというからもしかしたらそのせいなのかもしれない。
「わかってないでしょ、お前」
「わっ、わかってるよ……？」
ばぁうくんのモノだから、大切にしなくちゃいけないことは分かっている。
理解はできる。
けれど実践出来ているかと聞かれたら自信を持って「うん」とはあまり言えない気がした。
「ばぁうくんの次にくらいは、大事にしてるもん、」
「……そっか」
きっと、多分。
次くらいには。
自分のことを大切に出来ている気がする。
ばぁうくんから見たらどうなのかはよく分からないけど。
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作者名：Stellar | 作成日時：2024年1月28日 14時
