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なんで、……ばぁうくん怒ってるの……？
表情や態度には出ていないが、少しだけ声が怒っている。
それだけじゃない、不安そうな感じも含んでいた。
なにか、あったのかな……？
「ほら。お前耳弱いもんね」
「んッ」
歌ってみたの収録が上手くいかなかったり、リスナーさんから求めているものを貰えなかったりすると機嫌が悪くなったりするばぁうくん。
今日もそうなのかと一瞬思ったが初めにキスをしてくれた時はそんな素振りはなかった。
「言わなきゃもっといじめられちゃうよ？」
やられるがまま。
抵抗もしない私を見て笑うばぁうくん。
その笑顔が少し悲しそうに見えてしまうのは、気の所為なのだろうか。
わからない。
口調はいつもと変わらない気がするけど……。
「あぁ、それとも虐められたかった？」
「ッ、ちがっ、」
「……他の男と連絡でも取ってた？ だから後ろめたさがあるとか」
「スマホ隠してるのだってそうなんでしょ」と唐突にばぁうくんの口からそう告げられて心臓が痛くなった。
私がばぁうくんを不安にさせてしまったんだ。
対して嘘が上手な訳でも、隠せる自信もなくて伏せてしまった。
私のわかりやすい嘘でばぁうくんを傷つけてしまったのだとわかり、涙が溢れそうになる。
「っ……、ちがうよ、」
「……。はいはいごめんね。いじめ過ぎちゃった」
パッと今まですごく近くに感じていた彼が急に距離を取った。
まるで心の距離を表しているみたいで、寂しくなる。
私のせいなのに。
私がばぁうくんを不安にさせたのに、勝手に寂しくなるなんて、馬鹿だ。
「ばぁうくん、ちがうの」
このまま距離が離れてしまうのが嫌でばぁうくんを後ろから抱きしめる。
背中越しで聞こえるばぁうくんの心音はいつもより少し早かった。
「知ってる。意地悪で言ったから。わかってるよ」
「っ、ごめんなさい」
「なに？ まさか本当なの」
分かりやすく不機嫌になる声に首を横に振って違うというのを全力でアピールする。
スマホの連絡先なんてばぁうくんと数人の女の子の友達しか入っていない。
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作者名：Stellar | 作成日時：2024年1月28日 14時
