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よしよしと撫でられているような、責められているようなどちらか分からない触れ方。
捉え方次第で変わってしまいそうなそれに引っかかってしまうとこの後好き放題されてしまうことを知っている。
「お前好きじゃん、こういう意地悪」
「すきじゃ……っ」
「また嘘つこうとしてる」
ティントを塗った艶のある唇にそっと触れて、そのままゆっくりと横にスライドするばぁうくん。
ギュッと唇を閉じながら、声が出ないように息を止めれば、意図せず「んぎゅっ」と喉奥の声が溢れだしてしまう。
っ、恥ずかしい……。
バレちゃう。
……意地悪がすきだって、バレちゃう……っ。
バレないように自ら「だ、だめ」と言ってみるが、自分でも驚く程甘い声が溢れてしまった。
「んー？ どの口かな。嘘つく悪いの口は……。これかな」
言い当てられた瞬間、ドドドドドっ、と心臓が加速する。
オマケに頬も熱くて、手に握っているスマホをぎゅっと握ることしか出来ない。
「塞いじゃうよ？」
「んんッ……────！」
「ん……っ。……お前が強情だから、ん、……意地悪しちゃった」
とっくの前から意地悪されている気がするが、そんなのを口に出してしまったらもっといじめられてしまう。
「んぁ、……ばぁうく、」
「んーん？ なに？ 言う気になった？」
「んやっ、」
「まだ言う気になれないの？」
「仕方ない子だね」と怖いくらい落ち着いた声が落ちてくる。
コレはマズいと、本能が叫んでいる。
経験上、ばぁうくんが妙に冷静で距離が近い時は『今から教え込むぞ』のサインだ。
逃げたいけれどばぁうくんに触れられている以上、抜け出せる事なんてほぼ不可能。
増してや今、スマホを握っているせいで手が使えないから尚更逃げることなんて出来なかった。
「なら、……もっといじめるだけだけど」
「ッッ！！」
先程まで耳をいじっていた指が早く動き出す。
掻き回すように、クルクルとその場所を何回も何回もなぞる指先でおかしくなってしまいそうだ。
「まっ、……！ ばぁうくん、まっ、て……っ」
「んー？ 何を待ってなのさ。言わないからでしょ。ねぇ」
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作者名：Stellar | 作成日時：2024年1月28日 14時
