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「んはぁ……っ……！」
やっと解放された時、酸欠と緊張とドキドキで呼吸を求めていた。
長いキスに未だに慣れない私は、唇が離れた後肩を動かしながら息をする。
「っ、ば、」
「ん？ どうしたの？ 言えてないみたいだけど」
ようやく声を発することが出来るようになった時、ばぁうくんの方は全然息が乱れていない事に気がついた。
ばぁうくん、歌歌ってるからなのかな……っ？
肺活量が多いから……？
なんで？？
一緒のキスしてたのに……っ。
いつもいつもそう。
ばぁうくんが呼吸を乱しているところなんて風邪の時ぐらいしか見たことがない。
なんて関心していて肝心なことを忘れてしまっていた。
「〜〜〜っっ！ ば、ばぁうくん……っ！ 邪魔するなんていじわるだよ」
「意地悪。んー……？ 好きな人にキスしただけなんだけど。何か意地悪だった？」
「っ！」
こういうところ、意地悪だ。
私が何にもいえなくなってしまうことを知っている。
やっぱり全てを見透かしているばぁうくんはまるで返答の分かったオモチャと遊ぶように声を掛けてきていた。
ちゅっ、と今度は甘く優しいだけのキスを1回。
「ふふ、……ほら。ちゃんと続き、言ってみて？」
綺麗に微笑む彼の姿が美しくて、ああ、もう全部言ってしまおうかなんて思ってしまう。
スっと頬を包んでいた手のひらが動き、彼の指先が私の熱を持った耳に触れる。
「んひゃっ……！」
「じゃなきゃもっと意地悪しちゃうかも」
スリスリとばぁうくんの人差し指指が私の左耳を遊ぶ。
ふっ、と息を吹きかけてみたり、舌なめずりの音が聞こえる度身体が反応してしまう。
「〜〜っ、いじわるっておもってるじゃん……っ」
「いいじゃん、だめ？」
「う、」
弱い。
ばぁうくんのこの甘えたような声に。
語尾まで丸まったようなその柔らかな声に反論したくても出来なくなってしまう。
これが世にいう惚れた弱みと言うやつなのだろうか。
ずるい人だ。ばぁうくんは。
初めから全部『ＮＯ』とは言わせない辺り、狙ってやってるとしか思えない。
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作者名：Stellar | 作成日時：2024年1月28日 14時
