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「……ばぁう、くん……？」
綺麗な瞳がこちらを見透かしてくる。
名前を呼ばれただけなのに、なんだか慰められているような気分だ。
「ん？ なに」
「どうかしたの……？ もしかして……、今日忙しい……？」
「違うよ。……行こっか」
「うん」
先程まで触れていた唇を抑えながら、ダサい感情が溢れださないように気をつける。
ずっと俺のだけでいて欲しいだなんて伝えても「うん」と言ってくれるのは分かっているはずなのに、たまにそれ以上を欲しくなってしまう。
求めている以上に、彼女が欲しくなってしまった。
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「ばぁうくん、」
手を繋いでゆっくりとショッピングモールを2人で歩いていた。手にはいくつかの紙袋。
全て俺が彼女の為に購入したものだ。
そんな彼女が周りの人にバレないように小さな声で俺の名前を呼ぶ。ただのんびりと歩いていただけだったので優しく微笑んで彼女を見つめる。少し戸惑っているような困っているような顔が可愛い。
「ん〜ん？ どうした？ まだ欲しいのあった？」
「あ、ううん、……服はね、もう大丈夫」
既に今日だけでもう何着も買っている。
ほとんど家から出ることを許されていない彼女が一体いつ着るんだと問いかけたい程買った服。
ま、家で着させれば良いし。
次の俺とのデートは普通にコレ着て欲しいし。
今日の服も別に悪くはない。寧ろこういう服も似合うのかと思ってしまうほどだが、自分がプレゼントしていないという点ではマイナス5億点くらいだ。
「そう？ まだ全然って感じだけど」
「車の後ろ、入り切らなくなっちゃうよ」
「そしたら送って貰えばいいし」
「あぅ……、」
今日出かけてからというもの、店に入るなり気に入った服を全部着ていた彼女。初めは嬉しくてニコニコ上機嫌だった彼女も何度も着せ替え人形を繰り返す度に疲れて最後の方は顔が引きつってしまっていた。
笑顔が作れてないじゃん。
あー。かわいい。
期待には応えたいけれど、気持ち的には出来ないと言っているような素直なその表情が好きでもう少し続けたら嫌がってしまうんだろうかなんて思ってしまう。
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作者名：Stellar | 作成日時：2024年1月28日 14時
