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ズボンのポケットに入れていたスマホが震える。
こんな時に誰だ。なんて思って見てみれば、今話題に出ているまひとの彼女からだ。
『早とちりしちゃダメよ』……って。
うっわぁ、何この遊ばれた感……。
まるでここまで全部仕組まれていたような気がしてならない。
俺はどちらかと言えば遊ばれるより遊ぶ方が好きなのに。
なーんかあの人だけは上手く転がされてる気がするんだよなー。
悔しい……。
「ばぁうくんとお洋服選ぶのも好きだけど、ばぁうくんのこと考えてお洋服選ぶのもすごく楽しかったよ」
「へぇ、俺の事考えてくれてたんだ」
「うん」
「いい子じゃん」
そう思うとやはりAは思い通りに動いてくれる子で愛おしくなる。優先順位が自分より俺の方が先にあるのは少々心配だが、そこはカバーをすればいい話だし。
何より惚れた弱みなのか、やることなすこと可愛く見えてしまうのだ。
「じゃ、今日は俺とも服見てくれる？」
「お洋服……？」
「そ。俺もプレゼントしたくなっちゃったから」
「う、うんっ。嬉しい」
ニコニコ微笑む彼女をそっと撫でて化粧台の方へと目を落とす。そこには綺麗に整頓されたジュエリーボックスがあった。
「どれにするか迷ってんの？」
「あ、うん。……そうなの、どれも好きだから……」
「随分多くなったね」
「ふふ。ばぁうくんがくれたものだから。
……たまに家でもしてるよ？」
「わかってる。気づいてるよ」
彼女がジュエリーを身につけている時は大概俺の帰りが遅くなったり、ライブや地方に出かける時なんかによくつけている。
『近くに感じたいから』なんて理由でつけているらしく、そんなの聞いたら1個、また1個と増やしてしまうのだ。
こんな多くなってるとは思ってなかったけど。
その中から以前KnightAのメンバーと出かけた時に店頭で見つけて似合うなと思って買ったイヤリングを取り出す。大きめのパールの上にリボンがついたシンプルなデザイン。
「ん、これがいい。これ、似合うから」
「うんっ」
「あ。待って。……つけてあげる。せっかくだし」
「うん」
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作者名：Stellar | 作成日時：2024年1月28日 14時
